「WWDJAPAN」は、11のトピックスから2023年を大胆予測する。トピックスは、デザイナーの就任・退任劇、国内トレンド、国内アパレル、海外ニュース、次世代富裕層、メタバース、スポーツ、サステナビリティ、Z世代、ビューティ業界のM&A、そしてヘアカラー。次世代富裕層以降のキーワードは、いずれも22年までに急速に広がり、ビジネスを語る上で欠かせないトピックスとなった(この記事は「WWDJAPAN」2023年1月2&9日合併号の抜粋です)。
村上要編集長(以下、村上):ヘアサロンを担当する中村記者が2022年のヘアサロン業界を振り返って印象的だったことは?
中村慶二郎サロンビューティデスク(以下、中村):最も印象に残ったのは、数年前から続いている“ハイトーンカラーブーム”が、“ブーム”ではなく定着したことだ。同ブームはもう2年以上続いているし、ブルー系の需要が高いと思っていたら、これまであまり使われてこなかったレッド系のニーズが高まるなど、ハイトーンカラーの枠内で常にトレンドが生まれている。“服を変えるように髪色を変える”という新しい文化が生まれた年、といっても過言ではないと思う。
村上:そうした文化が生まれた要因は?
中村:コロナの影響や多様性の風潮などがあるけれど、ヘアカラー剤やケア剤の進化が大きい。ハイトーンカラーに特化したケア剤や、髪を強くするプレックス系のケア剤が普及したことで、ダメージをさほど気にすることなくブリーチを提案できるようになった。
村上:ヘアカラー剤の進化で特徴的だと思うのは、剤の進化が一方向ではなく、アプローチが多様性に富んでいること。例えばクレイを使っているから塗りたいところに剤がぴたりと留まるシュワルツコフ プロフェッショナルの「テラ(TERRA)」、褪色過程まで美しい資生堂プロフェッショナルの「アルティスト(ULTIST)」、組み合わせで好きな色を作れるミルボンの「エノグ(ENOG)」など、進化の方向性のバラエティーが豊か。これは強いと思う。
中村:なるほど。今は美容師個人のインスタグラムによる集客が進化していて、差別化した特徴を打ち出さないと集客できない時代になっている。ただ「ヘアカラーが得意」ではなく、「暖色の提案が得意」とか「大人向けハイライトが得意」とか、一歩踏み込んだ提案が必須。そうした美容師のニーズと、ヘアカラー剤のバラエティーに富んだ進化がうまい具合にマッチしている。ちなみに、そのインスタグラムによる差別化が、最も分かりやすいジャンルが“白髪ぼかし”。美容師によってやり方が千差万別なので、面白いことに東京に1人、北海道に1人、みたいな感じで、各地に1人ずつ白髪ぼかしで“プチバズり”している美容師がいる。
村上:ほんとだ!「♯白髪ぼかし」で検索すると、「♯白髪ぼかし 福岡」とか「♯白髪ぼかし 岩手」とかいろいろ出てくる(笑)。
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