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ファストリ22年9〜11月期 2ケタ増収も中国はコロナで大幅減益

 「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」などを運営するファーストリテイリングの2022年9〜11月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が前年同期比14.2%増の7163億円、営業利益が同2.0%減の1170億円で増収減益となった。純利益は同9.1%減の850億円。減益は、主力市場である中国が新型コロナの感染拡大により大幅減益となったことによるもの。

 売上総利益率は前年同期から0.9ポイント低下し、53.1%になった。販管費比率は1.5ポイント上昇し37.0%。「収益の柱が多様化してきたことで、連結では若干の減益にとどめることができた。グローバルでインフレが進む中、(ユニクロがコンセプトに掲げる)“LifeWear”は高品質な日常着であり、幅広いお客さまの手に届く価格で提供していることで、各国・各地域で販売が好調となっている。さらに販売を拡大していける手応えを感じている」と岡﨑健ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員最高財務責任者は話す。

 海外ユニクロ事業の売上収益は同19.4%増の3578億円、営業利益は同4.4%減の572億円だった。これは中国大陸が行動規制の影響で大幅な減益になったことに加え、営業停止中のロシアが赤字になったことによるもの。グレーターチャイナと国内ユニクロ事業以外のすべての国では、計画を上回る大幅な増収増益と好調で、東南アジア、北米、欧州(ロシアを除く)では過去最高の業績を達成した。

 国内ユニクロ事業の売上収益は同6.4%増の2409億円、営業利益は同5.6%減の394億円。3カ月間の既存店売上高は同4.7%の増収だった。秋冬商品の一部で価格を見直したが、これらの商品の販売は概ね好調に推移。中でも“ヒートテック”の極暖、ワイヤレスブラなど、機能性や素材、デザインなど商品価値をアップデートした商品の販売が特に好調だった。客単価は同9.5%伸び、値引率も改善した。なお、12月の既存店売上高は前年同期比16.9%増で、単月では過去最高の売上高を記録した。

 国内ユニクロ事業の利益面では、急激な円安による調達コストの増加により原価率が上昇したことで、売上総利益率は同1.1ポイント低下。急激な為替の変動に、一部の期中発注や計画を上回る発注など、為替予約をしていないスポットで仕入れた部分が調達コスト増加につながった。値引き率は、継続的に値引きのコントロールを強化したことにより、改善している。販売管理費比率は33.2%と0.8ポイント上昇したが、数字では計画通り。前年比で販売管理比率が上昇したのは、人件費と広告宣伝費だ。人件費率アップは店舗のパート・アルバイトを中心に時給を引き上げたことによるもので、「店舗オペレーションの効率化や業務削減などの取り組みを進めている。中期的には生産性を向上させていくことで、人件費率は改善すると考えている」と岡﨑取締役。広告宣伝費は戦略的に増やし、テレビCMを中心に商品価値を伝える取り組みを強化したことで増加した。

 ジーユー事業は売上収益が同13.6%増の793億円、営業利益は同19.3%増の106億円と、大幅な増収増益となった。品番数を絞り込み、マストレンド商品の数量を十分にもって商売を行ったことで好調な販売となった。また、物流が正常化し、売れ筋商品の追加生産にも機動的に対応できた。

 なお、12月以降、中国大陸を除くすべての国と地域のユニクロ事業、ジーユー事業で既存売上高が2ケタの大幅な増収と、計画上回る業績となっているため、連結の業績は上期、通期ともに業績予想通りの増収増益を達成できる見込みとしている。


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