欧州のファッション業界では近年、EU全体そして国ごとに新たな規制や法律が議論・施行されており、大きな変化が起きている。内容としては、「サステナビリティ」「環境に優しい」など、これまで企業にとって使いやすいように解釈されてきた言葉を規制してグリーンウォッシングを防ごうとするものや、製品の原材料調達から製造工程まで、あらゆる情報を細かく報告させることを義務付けるものなど多岐にわたる。EUはなぜここまで本腰を入れてサステナビリティに取り組むのか。その狙いを考察する。
「少なくとも欧州の繊維産業は規制のない、もしくは自主規制の下に動いていたセクターだったが、非常に規制の厳しい産業へと移行しつつある。この劇的な変化について、おそらく企業はまだ理解も評価もしていないが、変化は確実に起きている」とコメントするのは欧州アパレル・テキスタイル協会のディルク・ヴァンティゲム局長だ。EUのサステナビリティ戦略を専門とするコンサルティング会社、オハナ・パブリック・アフェアーズのコンサルタントも「EUにおけるファッション業界は、数年以内に1から10まで規制されるだろう。サステナビリティに関する法律が一切なかった状態から、生産からデザイン、廃棄に至るまで全てが規制対象に含まれることになる。今後2年間は、これら全てにどれだけ効率的に対応できるかという旋風が巻き起こるだろう」とコメントする。
EUに進出する全ての企業が強制的に対応を迫られる状況は目前に迫っている。そこで、2023年施行の法規制および今後数年以内に施行予定の主要な法律や規則をまとめた。
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