ファッション

「コム デ ギャルソン」2016-17年秋冬パリ・コレクション

REPORT

“18世紀のパンク”を意味する花に包まれた甲冑ドレス

今季、川久保玲が掲げたキーワードは“18世紀のパンク”。産業革命やフランス革命などが起こった当時の社会を大きく変えるために必要な反骨的なパワーからイメージを膨らませたようだ。

 ファーストルックは、多種多様の花柄の生地のピースを組み合わせて作る立体的な花の装飾を施したスーパーサイズのドレス。そこに象徴される “花”は、今季を語る上で欠かせない要素だ。全17ルック中13ルックに用いた花柄の生地は、プリントからジャカードやゴブラン織りまでさまざまな手法で描かれ、ビンテージファブリックのようにレトロな雰囲気を醸し出す。そして、ロマンチックともとれる要素と対極をなすように、多くのアイテムに採用されたのは、中世の甲冑のような構造だ。スナップボタンでいくつものパーツをつなぎ合わせることで構築的なシルエットを形成する。そんな花に包まれた甲冑からは、1月に発表した「平和の鎧」がテーマの「コム デ ギャルソン・オム プリュス」の2016-17年秋冬コレクションに通じるメッセージを受け取る。
 
 「コム デ ギャルン」の魅力は、ショーだけではない。翌日に開かれた展示会には、レトロな花柄やラッフルを用いた今季のトレンドに合致するコマーシャルピースが数多く並んだ。大迫力のコンセプチュアルなショーで観客を魅了する一方で、そのエッセンスを反映した着やすいアイテムをそろえ、ビジネスを成り立たせる。そこに「コム デ ギャルソン」の凄さがある。

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