ファッション

コロナ禍をバネにした下克上 国内アパレル市場でプレーヤーの入れ替わり【展望2023】

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 「WWDJAPAN」は、11のトピックスから2023年を大胆予測する。トピックスは、デザイナーの就任・退任劇、国内トレンド、国内アパレル、海外ニュース、次世代富裕層、メタバース、スポーツ、サステナビリティ、Z世代、ビューティ業界のM&A、そしてヘアカラー。次世代富裕層以降のキーワードは、いずれも22年までに急速に広がり、ビジネスを語る上で欠かせないトピックスとなった。(この記事は「WWDJAPAN」2023年1月2&9日合併号の抜粋です)


五十君花実副編集長(以下、五十君):コロナ禍の3年を経て、特に婦人服ではメインプレーヤーの入れ替わりを強く感じる。2023年も劇的に変わるというよりも、その流れがより加速しそうだ。

林芳樹ビジネスデスク(以下、林):象徴的だったのが、昨年11月に発表された米大手ファンドのベインキャピタルによるマッシュホールディングスの株式取得だった。マッシュ全株式についた価値がなんと2000億円。

本橋涼介編集部記者(以下、本橋):同業のアパレルの経営者たちもその金額に驚いていた。そして日本の新興アパレルにそれだけの価値がつくことに希望を持った人が多かったのが印象的だった。ファンドによる企業再生型のM&Aが多いが、急成長中のマッシュはそれには当たらない。株式上場や海外事業の加速、売上高を現在の3倍の3000億円に拡大するという野心的な目標のためにベインキャピタルの力を借りるといった前向きな話だった。

五十君:マッシュはまさにメインプレーヤーの座を盤石にした感がある。「スナイデル」や「ジェラート ピケ」のように価格訴求ではなく、ブランドの個性で20〜30代の女性をつかんでいる。

林:マッシュのポジションは現代のアッパーミドル市場。販路としてはファッションビルが多いが、決して安いわけではない。かつて百貨店アパレルが得意としていた、ワンランク上質なものを望む女性の支持を拾えている。アパレルは低価格と高価格の二極化が叫ばれてきたが、提供価値がしっかりしていればアッパーミドルの市場も決して小さくない。

五十君:マッシュほどの規模でなくても、メインプレーヤーは次々に育ってきている。「クラネ」は、コロナ以前は年商13億円だったが、23年1月期は40億円に届く勢い。ビーストーンの「アメリ」も40億円前後の規模まで成長した。サザビーリーグ傘下で19年にスタートした「メゾン スペシャル」も短期間で大きく伸びている。いずれも今後が楽しみなブランドだ。

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