「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」をビジョンに掲げるマクアケは、ブランドが持つべきパーパスの可視化や、その伝え方、ユーザーとのコミュニケーション作りなどでメーカーに寄り添い、モノづくり企業がモノづくりに集中できる環境整備に一役買っている。ブランドの伴走者、キュレーターが過去の事例を踏まえながら、応援されるブランドの共通点を探る。 (この記事はWWDジャパン2023年1月16日号からの抜粋です)
今回お話を伺ったのは、小松マテーレです。同社は1943年に石川県で創業した化学素材メーカー。「合成繊維の産地・北陸から世界へ」を合言葉に、日本人ならではの感性、北陸にしかない技術力を素材に折り込み、染色後加工の領域をメーンにさまざまな生地を手掛けています。その技術力は世界からも高い評価を得ており、フランス・パリのテキスタイルの国際見本市「プルミエール・ヴィジョン」では2003年から素材と技術を提案し、13年にはグランプリを受賞しました。
「文化・情報の発信源であるヨーロッパで素材と技術が認められることが、世界全体に認められる証にもなる」という考えのもと、ヨーロッパを中心に世界的ファッションブランドの数々と取引してきた小松マテーレ。そんな同社はコロナ禍をきっかけに、コンシューマー向けの自社商品を開発するチームを立ち上げ、特殊加工技術を使ったナイロン100%生地のトートバッグ「コンブトート」を開発しました。過去には、自社開発のオリジナル商品を直営店やECサイトで販売してきた同社ですが、今回「コンブトート」のプロジェクトを「マクアケ」で実施したところ、累計で1000万円以上の応援購入が集まるなど、大成功をおさめました。
なぜ開発した「コンブトート」にこれだけ多くの応援が集まったのでしょうか。同商品が生まれ、人々の共感を集めるようになった経緯について、3つのポイントに基づきながら紐解きます。
1つめのポイントは「“失敗”に終わらせない、柔軟な発想の転換」です。「コンブトート」に使われている、特殊加工技術を使ったナイロン100%の生地「KONBU®」の“原型”とも言える素材が開発されたのは03年。きっかけは生地開発の“失敗”にありました。
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