阪急うめだ本店で「バレンタインチョコレート博覧会2023」が20日に開幕した。取り扱う商品は国内外の約300ブランド、約3000種類と昨年並みだが、規模、売り上げともに日本最大級のチョコレート催事になる。
行動制限のないバレンタインイベントは3年ぶり。「今年は前年以上に来店者数が増え、大切な人に贈るチョコや自分へのご褒美需要が伸びると予想される」(阪急うめだ本店広報)。同店のバレンタイン商戦は2020年に売上高約25億円と過去最高を記録。翌年は前年比8%減に落ち込んだが、22年は約24億円まで回復した。今年は同5%増を計画し、25億円超えを狙う。
メイン会場となる9階フロアの会場は、初日の開店時刻にはチョコ好きの女性客が殺到した。「ジャン・ミッシェル・モルトロー」「オードリー」など人気ブランドの売り場前にはすぐに長い行列ができた。フロアの中央に位置する祝祭広場では「プレイフルチョコワールド」と題し、カラフルで楽しいチョコレートが集結した。人気のソフトクリームコーナーには12ブランドが出店。いま注目のショコラティエ西田明弘氏が手掛けるチョコレートアートも必見だ。
70ブランドが出店する催場には、“チョコレートの魔術師”と称する人気ショコラティエたちによるコーナーが登場した。渾身の一粒チョコに着目し、ボンボンショコラの食べ比べや、チョコレートについて学べるセミナー、お酒とのマリアージュを楽しめるペアリングバーなど、これまで以上に体験できるイベントを強化した。
原材料であるカカオにこだわるチョコ愛の深いブランドを集積した「カカオワールド」は、阪急うめだギャラリーで開催中だ。多彩なブランドをお試し感覚で楽しめるミニタブレットのコーナーのほか、時間予約制で無料テイスティングコーナーも設けた。オリジナルパスポートを片手に旅する気分で会場を巡れたり、360度VR体験コーナーでは、カカオ農園の風景やそこで働く人々の様子を臨場感あふれる映像と音で楽しむことができる。
今回初めて取り組んだ企画は、アートステージで開催される「かんきつジェット」と、阪急うめだホールの「焼菓子の森」。かんきつジェットコーナーでは、フランス発祥の伝統菓子であるオランジェットに着目し、オレンジだけでなく他の柑橘にまで広げて展開する。約50ブランド100種類以上のかんきつジェットが集結した。「焼菓子の森」では、絵本の中の森の世界を表現した空間演出が楽しい。焼菓子を1個から購入できるほか、イートインコーナーでは、もふもふのクマの手がドリンクを手渡してくれるカフェもあり、 SNSでも人気を集めそうだ。
同店は、21年から混雑回避の目的で会場を分散させてバレンタイン商戦に取り組んでいる。毎年、話題を集めるオリジナルガイドブックも年々中身が充実し、今年は350ページとかなり重量感のある1冊となった。
コロナ禍でもイートインやセミナーなどリアル店舗でしか味わえない体験を強化することで好調を維持してきた阪急うめだ本店のバレンタイン商戦。コト消費やイミ消費を追求し、さらにパワーアップした今年は、来店客にとっても過去最高に楽しいイベントになりそうだ。