髪を洗うことが目的だったシャンプーが、ここ4〜5年でハリ・コシや頭皮ケア、育毛など、より多機能へと進化。消費者のヘアケア意識が高まり、「オーガニック」や「ノンシリコン」「エイジングケア」といったトレンドも次々と登場し、シャンプー市場が盛況だ。
ここ数年、シャンプー市場ではさまざまなトレンドが誕生し、市場が活性化。かつては1本のシャンプーを家族で使うファミリーユースだったが、1人1本、自分に合ったシャンプーを使用するパーソナルユースへと変化している。最近ではパーソナルユースから一歩先の目的別使い分けへの意識も高まる傾向にあり、「今後はその日の気分や目的に合わせて、シャンプーを使い分ける人も増えるのでは」とDSプロモーションの松下令子・代表は予測している。
一方で、作り手側の意識変化も市場を押し上げている一因にある。一時期のシャンプー市場は大手メーカーの独壇場だったが、最近では新興メーカーが続々と台頭。これまでになかった斬新なプロモーション展開を行なうことで、「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」(スタイラ)や「レヴール(REVEUR)」(ジャパン ゲートウェイ)と次々とカテゴリーをけん引するトレンド製品が誕生している。
シャンプーのトレンド変遷を見ると、「オーガニック」や「ノンシリコン」など、プロフェッショナル市場で浸透したものが一般市場に登場して流行するといったケースが多い。そういった点で考えると今の注目は「エイジングケア」。プロフェッショナル市場ではこれまでもエイジングケアは人気だったが、最近では頭皮ケアに加えてハリやコシ、ボリュームといった高機能化が進んでいる。
一般市場のエイジングケアでは「セグレタ(SEGRETA)」(花王)が人気。人口のボリュームゾーンを考えると40代以上の市場はまだまだ伸びる可能性があり、多くのメーカーが注目している。今後は各メーカーからさらなる高機能なエイジングケアシャンプーが登場するだろう。
2013年頃から「オイルなのに軽く仕上がってツヤが出る」ことで流行し始めているオイルシャンプーは、まず、12年にプロフェッショナル市場に浸透。オイルのベタつきを革新的なテクノロジーで解消した「BC オイルイノセンス オイルシャンプー」(シュワルツコフ プロフェッショナル)がけん引。一般市場では13年になって「モイスト・ダイアン」(ストーリア)などが大きくプロモーションを展開し、消費者への認知度を高めた。
オーガニックシャンプーの登場以降、消費者の高価格帯のシャンプーへの抵抗が弱まっている。ドラッグストアでも高機能を打ち出した1000円以上の製品が増えている。一部ではリテール製品の品質が向上したことで、プロフェッショナル製品との差が縮まってきているという意見もある。価格や機能も含めて、さらに市場のボーダレス化が進んでいく。機能性や嗜好性、販売戦略も含めて、どう独自性を打ち出していくのかが、シャンプーの大きなトレンドを生み出すカギとなってくる。