「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」が2月2日(現地時間)、ニューヨークで2023年春夏コレクションを発表した。ファッションショーは、実に3年ぶり。公式スケジュールでは10日にスタートする23-24年秋冬ニューヨーク・ファッション・ウイークより一足先のコレクション発表となった。このコレクションは6月、ニューヨークの高級百貨店「バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)」がエクスクルーシブに発売する。
コレクションのテーマは、「HEROES」。コレクションノートには「ファッションは人生を豊かにしてくれるものであり、人が人のためにできる素敵で寛大なことだと思う」との言葉が添えられていた。昨年12月に81歳でこの世を去ったヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westowood)が残した言葉だ。マーク・ジェイコブスはヴィヴィアンが逝去した際、自身のインスタグラムに追悼の想いを投稿。そして今季は彼にとってのヒーローの一人、ヴィヴィアンへのレクイエムを表した。
広々としたパーク・アヴェニュー・アーモリーの真っ暗な会場には椅子を一列に並べて長いランウエイを作った。スポットライトで照らされた譜面台にヴァイオリニストのジェニファー・コー(Jennifer Koh)が現れると、コレクションがスタートした。ポケットを多用しながら無骨な素材のミリタリーをベースにしたアイテムを解体して、再構築。袖や襟元にボリュームを出したジャケットや、シャツを逆さにしたリーンなスカートなど、ニットや柔らかな素材を組み合わせることでドレスアップしたスタイリングに変換した。アクセサリーとして使用したパールのネックレスは、「ミキモト(MIKIMOTO)」。スタイリングのアクセントになった。
ニットをねじって胸の膨らみを強調したビスチエやボリューム感のあるスカート、構築的でドラマティックなドレスは、ヴィヴィアンの得意としたデザインを再現している。モデル全員が着用していた厚底ブーツは、1993年の「ヴィヴィアン・ウエストウッド」のパリコレクションでナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)が転倒した際に着用していたブーツを彷彿とさせる。モデルのブロンドのショートヘアや腕を組んだ挑発的なポーズは、若かりし日のウエストウッドへのオマージュのようだ。