毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年2月6日号からの抜粋です)
大塚:ミラノ、パリのメンズコレ取材、お疲れさまでした。率直に言って、セレブリティー取材は結構大変でしたよね。
井上:年々激しさを増していますよね。
大塚:SNSに画像を1枚投稿するだけでも、ものすごく拡散されて、閲覧数に如実に表れます。その影響力は本当にすごいと思うし、ある意味、ショーの一部でもあるので、取材すべきなのはよく分かっています。でも、現実は寒い中、会場外で待ち続けなければいけなかったり、人混みがあればスマホ片手に突撃したりと、心身共に消耗します。ショー開始前にぐったりしてしまうと「一体僕は何をしてるんだ?」という気持ちにもなります。
井上:私もそもそも著名人に興味がなく、前シーズンはすごくもてはやされていたのに、今シーズンは呼ばれていなかったりする人もいて、「著名って……」と虚無を感じたりします。前シーズンは、BTSのメンバーを近くで撮ることができたのですが、向かい側にいたメディアの画像に、必死に撮影している私が映り込んでいて。友人たちから「(熱烈な)ファンなんだね」って連絡が来ました(苦笑)。
大塚:僕も同僚から映り込んでいると連絡が来ました。「口がめっちゃ開いてます!」って。そういう残念な副産物もありますよね。でも今回、SNSをエゴサーチすると、ファンの人がセレブリティーきっかけで僕らの記事を読んで、興味を持ってコメントしてくれているということに気付きました。エリさんも書いてくれたラウールさん来場の「ジバンシィ(GIVENCHY)」のコレクション日記も、ファンの人が「イラン女性の権利に対するメッセージに心を動かされた」とコメントを発してくれていたんです。
井上:ラウールさんのところだけでなく、記事の最後まで読んでくれているんですね。それはうれしいです。
大塚:普段、コレクションやファッションに興味がない人たちが、著名人をきっかけに、僕らの記事を読んで、ファッションの魅力に触れてもらえるというのは、いいことだなと。コレクション終盤になって、少しポジティブになりました。
井上:なるほど。ファッションに興味がない人にも最後まで読んでもらえる記事を書かなければですね!