1月31日〜2月2日にイタリア・ミラノで開催された「ミラノウニカ(MILANO UNICA)」のオープニングセレモニーでは、トレーサビリティーの重要性が議論された。ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VITALE BARBERIS CANONICO)のトップ、アレッサンドロ・バルベリス・カノニコ(Alessandro Barberis Canonico)=ミラノ・ウニカ代表は、「トレーサビリティーが、社会面・環境面におけるサステナビリティを実現するために不可欠であり、メード・イン・イタリアの価値を担保する重要な要素である」と強調し、AIやブロックチェーン技術への投資を強化する方針だと話した。
トレーサビリティーに関して、新たな取り組みを披露したのは高級シャツ地ブランドとして知られる「トーマスメイソン(THOMAS MASON)」などを擁する、イタリアの大手シャツ生地メーカーのアルビニ(ALBINI)だ。同社はオーガニックコットンブランド「バイオフュージョン(BIOFUSION)」の下、トレーサビリティーの技術に投資してきた。今回は初めてそのノウハウをイタリアのプーリア州にある農家で実践し、イタリア産のトレーサブルなオーガニックコットンを発表した。「バイオフュージョン」では、科学的な追跡技術を用いることで畑から生地までを追跡できる。原産地の特定だけでなく、同社の強みである品質や責任のあるサプライチェーンでの製造が証明できる。プーリア州の農家では、これまでに47ヘクタールの畑を耕作し、4万4000キログラムの綿花を生産した。綿花は遺伝子組み換えでない優れた種子を厳選していることに加えて、432ヘルツまでの周波数の音楽を流し続けて水面を振動させて品質を向上させる特殊な技法で育てられているという。
担当者は、「当社は2009年からオーガニックコットンを販売してきたが、当時は市場が成熟していなかった。現在は、コレクションのうち3割以上でオーガニックコットンを使用している。透明性のあるオーガニックコットンへの需要の高まりを感じる」と話す。
同社はそのほかにも、新たなデニムの循環型プロジェクトとして「アルビアーテ(ALBIATE)」でリサイクルコットンを使ったデニムコレクションを発表した。最適な混紡率を追求し、「アルビアーテ」の余ったデニム生地を反もうしてできたリサイクルコットン30%とオーガニックスーピマコットン70%をブレンドすることで品質を担保している。
また有力な米穀メーカー、リゾ・ガッロとの協業で実現した黒米を活用した染料技術も披露した。リゾ・ガッロが栽培する品種の黒米を熱湯で処理する工程で、通常捨てられていた水を染料に活用した循環型の技術だ。カラーはブラウンをベースとした4色をそろえる。