フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)前「セリーヌ(CELINE)」クリエイティブ・ディレターの手掛けるシグネチャーブランド「フィービー ファイロ」は、2023年9月に初のコレクションを公式ウェブサイトで公開・発売することを発表した。公式インスタグラムアカウントの投稿には、「7月に登録を開始する」旨も記されている。ファイロのカルト的な人気と、時代の潮流を敏感に感じ取るアンテナを考えると、彼女の復帰は生活者やエディター、小売店関係者から喝采を浴びることは間違いない。そして、おそらく同業デザイナーの中には、戦々恐々している者もいるだろう。
ファイロは21年7月、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)を少数株主として、独立したブランドでファッション界に復帰することを発表。当時、彼女は「卓越した品質とデザインに根差した」服とアクセサリーを作ることを掲げ、「私は、自分の顧客や世界中の人々と再び触れ合うことをとても楽しみにしている。独立して、自分の責任のもとブランドを運営していくことは私にとって非常に重要なこと」と語っていた。しかし、それ以降は口を閉ざし、極めて控えめに準備を進めてきた。
20年後半からロンドンを拠点にチームを作り、昨年5月にはパトリック・シレン(Patrik Silén)がマネジング・ディレクターに就任。ビジネス特化型SNSの「リンクトイン(LinkedIn)」によると、シレン=マネジング・ディレクターは04年にハーバード・ビジネススクールを卒業し、プロクター&ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)でキャリアをスタート。経営コンサルティング会社のミッチェル・マディソン・グループ(MITCHELL MADISON GROUP)などを経て、マッキンゼー&カンパニー(McKINSEY & COMPANY)で16年間経験を積んだ。その後、英ファッションEC大手エイソス(ASOS)の最高戦略責任者や、システム変革を手掛ける英企業システムIQ(SYSTEMIQ)のシニアアドバイザーを務めてきた人物だ。
また、ファイロはスタジオの強化も続けており、業界関係者によると、昨年には「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデニムデザイナーとワークショップのトップ、そして、「バーバリー(BURBERRY)」から人事担当の重役を迎えたという。