「WWDJAPAN」1月23日号は、毎年恒例のテック特集。今年のテーマは“職種別DXのトリセツ“だ。DX(デジタル・トランスフォーメーション)と聞くと、システムやデータに携わる人が進めるもの、とイメージするかもしれない。しかし、一人一人が自分ごと化し、日々の業務を見直すことが、DXの本質だ。
特集では「販売員」「プレス」「商品企画」「ODM・OEM」「EC&EX担当者」「情報システム」の6つの部門をピックアップし、先進企業やキーパーソンの証言から、DXのポイントと最新ツールを紹介する。今回は、販売員編を届ける。(この記事はWWDジャパン2023年1月23日号からの抜粋です)。
令和のカリスマが伝授する
「販売員をDX化する方法」
バロックジャパンリミテッドがここ数年、販売員のデジタル活用を加速させている。同社はSNSの影響力が今ほど大きくなかった2015年から店舗ごとのSNS運用を推奨し、投稿内容やEC連動をアドバイスするチームを本社に設けるなど、戦略的にデジタル施策を実施してきた。コロナ以降はライブ配信やオンライン接客のほか、販売員のSNSとECを連動させる「スタッフスタート」の活用も本格化させた。さらに店頭でのスマートオーダーやEC在庫の表示などOMOも進め、22年2月期の国内EC売上高は前期比10%増の104億円と成果を収めている。
そんな同社で販売員のDX化を後押しするのが、村岡美里・営業販売本部 販売統括部 トレーニンググループ デジタルマネジメント担当だ。村岡氏は21年まで「リエンダ」福岡ソラリアプラザ店の店長を務め、同年8月には「スタッフスタート」を運営するバニッシュ・スタンダード主催の“令和のカリスマ店員”を決めるコンテスト「スタッフ・オブ・ザ・イヤー」でライブ配信や電話接客が高く評価され、初代グランプリに輝いた。現在は全国の店舗スタッフに向けてライブ配信やSNS運用のノウハウを教えている。
村岡氏は「ライブ配信を効果的に行うには、いくつかポイントがある」と語る。店頭ではマンツーマンで接客するのに対し、ライブ配信は不特定多数を相手にする。そのため、相手のニーズをつかむヒアリングができず、効果的な提案が難しい。そこで意識しているのが「ストーリーを紡ぐこと」だ。「例えば撥水加工があるアイテムなら、「『今の時期、急な雨も少なくない。今日は、そんなときにも使える撥水加工が施されたトップスを紹介する』と前振りを行い、そこからデザインや素材、着心地に話を広げていく。この流れを意識するだけで、ユーザーの購買意欲は格段に上がる」。
もう一つは「言語化する力」だ。店舗ではアイテムを触れば生地感が伝わるが、画面越しの接客やSNS投稿ではイメージがしづらい。「フワフワな素材でも、毛足が長いのか、ループ構造なのか、シャギーなのかで全然質感が違う。より的確な表現を行うために、雑誌やウェブ媒体を読みまくって勉強した」。これらは店頭の接客にも還元され、「より説得力のある提案ができるようになった。デジタルとリアルは別物ではなく、互いの延長にある」。
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