ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、ロングセラー商品がリニューアルし、新たな価値を生み出す話。(この記事はWWDジャパン2023年2月13日号からの抜粋です)
【賢者が選んだ注目ニュース】
「シスレー」のロングセラー美容乳液が43年目で初のアップデート
「ドゥ・ラ・メール」の“ザ・モイスチャライジング ソフト クリーム”が2012年の発売以来初のリニューアル
「ロングセラー」をアップデートしようとするとき、常に課題になるのが受け継ぐものと変えるもののバランスだ。ファッションカテゴリーでも社会情勢やライフスタイルの変化に対応してアップデートを行う企業・ブランドの取り組みが話題となるが、ビューティプロダクトの場合、事情はやや複雑だ。研究・開発面の進化のスピードは目まぐるしく、新規技術や成分を配合した商品を作ることは容易になったが、愛用者の多い商品ほど香りやテクスチャーなどほんの少しの変化が「違和感」として捉えられることがある。使用感を変えずに処方をアップデートすることは、新商品を一から作るより数段難しい。しかし、ロングセラー商品が築いてきたものは、最新の技術をもってしても代え難いほど大きな意味を持つ。発売以来初のリニューアルを迎えたロングセラー2品から、「受け継ぐもの」と「変えるもの」のバランスを考えたい。
「シスレー」の乳液は 「ユニバーサルスキンケア」に
「シスレー」の“エコロジカル コムパウンド”は、ツボクサエキスなど多数の植物成分を独自のバランスで配合した乳液。1980年に発売して以来43年、初めてのリニューアルを迎え“エコロジカル コムパウンド アドバンスト”となる。これまでにも数回リニューアルを試みたが、植物成分を豊富に含む処方のバランスを変えることが非常に難しいため、長く見送られてきたという。今回のリニューアルにあたっては3500倍の濃度のツボクサエキスの抽出に成功。さらに皮膚のマイクロバイオームに着目し、より過酷になる外的環境に対して一人一人の肌が持つ「恒常性」を助けるアプローチが加わった。これまでもカミソリ負けを防ぐとして男性のユーザーが少なくなかったが、今回のビジュアルには多様な人種の男女のモデルが配され、年齢・ジェンダー・肌質を問わずに使える「ユニバーサル スキンケア」を打ち出した。
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