ニューヨークを拠点とするデザインスタジオの「エリア(AREA)」が「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」とコラボレーションし、2月11日(ニューヨーク現地時間)にカプセルコレクションを発表した。本コレクションは「See Now, Buy Now」としてお披露目。シーズンは2023年春夏、「セルジオ ロッシ」の公式サイトで購入可能だ。
NYファッション・ウイークでは、ほとんどのブランドが招待状をメールで発信する中、「エリア」はプラスチックのコンテナに乗った本物さながらのバナナ2本を届けた。この見た目、質感ともにリアルなインビテーションに加え、「エリア」がインスタグラムで発信するコレクションのインビテーションにはハエが飛び回り、バナナがどんどん腐っていく様子が映し出されていた。ちょっぴりグロテスクでダークなメッセージは、コレクションの前に話題になったものだ。
ショー会場に足を踏み入れると無数のハエ(のデコレーション)が柱や壁に群がっているのが目に飛び込み、スピーカーからはハエが飛び回る耳障りに近い音が聞こえてきた。コレクションの前から何が始まるかワクワク、ドキドキ、ソワソワした人も多いだろう。ファーストルックはバナナを集めてデザインしたヴィヴィッドなピンクのショートドレス。足元にはフェザーをふんだんにあしらったサンダルを合わせ、モデルが歩くたびに優雅に揺れた。前半はピンクやイエロー、グリーンなど鮮やかなカラーが続く。バナナを繋ぎ合わせたドレスやグレープフルーツを半分に切ったようなメタリックのドレスなど、ユニークなルックの合間に鮮やかなイエローのテーラードドレスやスポーティーなジップアップフーディーなども登場。バナナやレモンの皮をむいたようなサンダルや、フェザーで覆われたグルカサンダルなど、「セルジオ ロッシ」のシューズが一体一体の存在感を際立たせた。
ショーが進むに連れ、ダークなカラーのルックが増えていく。ハエが飛び回るように揺れるヘッドドレスドレスや顔をフェザーのアクセサリーで隠したモデルが登場し、何やらダークな世界観が顔を出し始めた。それは、まるで新鮮なフルーツが腐っていくかのよう。後半は「エリア」らしい、“魅せる”ピースが続く。テーラードのセットアップやツイードのオールインワンなど、リアルクローズもアクセサリーでアクセントを加えた。フィナーレは、モデル自体がバナナになったかのようなロングドレスやバナナを段々に重ね合わせた構築的なドレスなど、ユニークなデザインながらもエレガントにまとめた。
「果物は、新鮮で生き生きとしているときは、豊かさ、豊穣、活力、若さを表現する。しかし、朽ち果てた状態では、死や生命の循環を表すことも。私たちは、ブドウ、バナナ、スイカをモチーフに、さまざまな刺しゅうや装飾技術、金属細工、建築物を通して、これらの概念を解釈した」とピオトレック・パンスチュック(Piotrek Panszczyk)デザイナー。コレクションに登場したモデルも、若手からベテランまで幅広い。ここにも、何かメッセージが隠されていたようだ。