ケイト&ローラ・マレヴィ(Kate & Laura Mulleavy)姉妹が手がける「ロダルテ(RODARTE)」は、リアルクローズが大半を占めるニューヨーク・コレクションの中で、レッドカーペットにふさわしい存在感のあるドレスやクチュール的なテクニックで独自の世界観を見せつけた。
会場内に入ると、食材や花、銀色のグリッターで埋め尽くしたテーブルの上にキャンドルが焚かれている雰囲気に圧倒された。今にも晩餐会が始まりそうなムードだ。
ファーストルックは、深いVネックとベルスリーブが印象的な体のラインに沿った黒のジャージードレス。モデルのメイクは黒いリップに黒いライナーで目の周りを大きく縁取り、いわゆるゴスメイクを彷彿とさせる。前半の10ルックほどは潔いほどシンプルな黒のベルスリーブのロングドレスだが、流れるようなシルエットにベルベットやラメ、レースなど異なる素材を使い、細かなディテールに変化をつけていくこと。登場するルックにはレースのひだ襟を施し、ポンチョのようなレースの襟やヴィクトリア朝の顔を覆うボリューム感のあるハットを組み合わせるなど、ヨーロッパの王族たちの晩餐会に迷い込んだかのようだ。今回ケイト&ローラ・マレヴィが描いたのは、ゴシックなフェアリーテールの物語だ。
ショーが進むに連れてゴシックな妖精たちは華やかさを増していく。シルバーのメタリックなフリンジで全身を覆ったガウン、繊細なレースにスパンコールをあしらったベールとキャミソールドレス、黒のツイードにスパンコール加工を施したドレス、今にも解けてしまいそうなクチュールのようなニットのロングドレス。クチュールさながらのクラフトマンシップが光る技術が次々に登場した。
終盤は姉妹の母親が描いたという妖精たちのプリントドレス。前半とは打って変わり、カラフルさが増していくが、モデルたちがまとうパールのイヤカフはヴァンパイアを彷彿とさせ、チョーカーにはコウモリをあしらうなど、あくまでダークなファンタジーを演出し続けてみせた。プリントドレスに描かれた妖精たちもどことなくシュールで、「ロダルテ」の世界観にマッチしている。グリーンやパープルのシャーベットカラーを使ったスパンコールニットのカラフルなセットアップや、ビーズで仕立てたフリンジが揺れるシリーズ。ゴシックな妖精を大きくプリントしたドレスはパイピングしたレースが大きく揺れ、優しいペールカラーで幻想的な空間を作り出した。
フィナーレは羽をつけたシルバーフリンジのドレスとゴールドフリンジのガウン。壮大な物語をランウエイで見せることで一着一着に対するテクニックだけでなく、ブランドの世界観を強く印象付けた。