ファッション

20周年を迎えた「プロエンザ スクーラー」 原点に立ち返りデザイナーが美しいと思う女性像を表現

 20周年を迎えた「プロエンザ スクーラー(Proenza Schouler)」は2月11日(ニューヨーク現地時間)、ニューヨークのマンハッタン・チェルシー地区で新作コレクションを発表した。デザイナーのジャック・マッコロー(Jack McCollough)とラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)は、「今までの経験の中で最もパーソナルなコレクションであり、特定のテーマがあるわけではなく、美しいと感じ、今この瞬間にふさわしいと思う個々のアイテムで、完全なワードローブを表現した」と語った。

 ショーのオープニングを飾ったのは女優のクロエ・セヴィニー(Chloe Sevigny)。ウエストマークした黒いジャケットに白シャツ、レザースカートというミニマルなスタイルに身を包んだクロエはデザイナーの長年の友人でもあり、デビュー当初から「プロエンザ スクーラー」のコレクションを着こなしていた一人だ。表立ったテーマはないと言うがコレクションノートには、とある架空の女性の日常にフォーカスし、40体登場するコレクションのルックは彼女の40通りの物語に沿ってデザインされているという。

 ショーの最中は、終始クロエによるナレーションがバックミュージックと共に流れた。内容は「2月11日〜」に始まり、同じ日の中で同一の女性のさまざまな日常を読み上げたものだった。仕事に対する感情や子どもの学校での出来事についてなど、ありきたりのない日常の喜びや不満を綴っている。このコレクションは、ジャックとラザロが今までインスピレーションを受け、繋がりを持ってきた女性たちを表現したものでもある。もちろんその中にはクロエ・セヴィニーも含まれている。

 ナレーションの内容からは、ごくごく普通の生活を送る女性のさまざまな感情が思い浮かぶ。コレクションは、黒のオーバーサイズのテーラードジャケットとパンツルックのシンプルなものから、キャメルカラーのチェスターコートにメタリックパンツとスタイリングにアクセントを効かせたものまで。過去のコレクションを彷彿とされるプリントもベルベット地にのせられ登場したが、20周年を祝うコレクションは過去への回顧ではない。デザイナーたちが追い求めてきた女性像に改めてフォーカスしたようだ。プリントは最小限に抑え、一点一点をリアルに着たいと思わせるアイテムに仕上げた。店頭でも売れ筋になりそうな商品ばかりだ。

 ミニマルで上品にまとめられたコレクション。仕事のシーンを連想させるジャケットスタイルや、カジュアルなフーディー、ドレスアップした特別なシーンのレザーのドレスやニットのスパンコールドレスまでが揃う。デザイナーが連想する女性像の日常の断片にふさわしいルックは、派手さはないが、一つ一つが上質なアイテムで洗練されている。他愛もない日常こそが美しく、それこそがデザイナーが現代のミューズとして想像する女性像なのだ。

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