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「LV」のファレル起用、どう思いますか?

 「ルイ・ヴィトン」の新メンズ・クリエイティブ・ディレクターは、なんとファレル・ウィリアムスでした。個人的には、2023-24年秋冬メンズのショーを見て、盤石のルイ・ヴィトン メンズ・スタジオ体制をしばらく続けるのかと予想していたので、早朝からスマートフォンを放り投げるほど驚き、少し落ち着いてから「なるほどな」と納得しました。この人事について、「ルイ・ヴィトン」のメンズを長年見続けた村上要編集長と、さまざまな角度から考察し、今後を予想をしています。みなさまはどう思われますか?

「WWDJAPAN」副編集長
大塚 千践
NEWS 01

驚きの人事? 「LV」メンズにファレル・ウィリアムスの正当性を読み解く

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 既報の通り、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・クリエイティブ・ディレクターに、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)が就任した。初のコレクションは6月、パリ・メンズ・ファッション・ウイークで発表予定という。

 「驚きの人事」だろうか?確かにファレル・ウィリアムスという人選には驚いたが、ファッションだけじゃない、アートや音楽シーンでも活躍するアーティストの起用には、正直驚かなかった。

 洋服を愛する人にとっては、「デザイナーって、なんだろう?」という疑問が頭に浮かぶ人事かもしれない。けれどもこの人事は、「ルイ・ヴィトン」というブランドの規模感や役割、現在に至るまでの経緯を考えると、納得できる点も多い。ここでは、そんな話をしてみようと思う。

世界最大のラグジュアリーは
「洋服好き」だけじゃダメ

 まず一番大事なのは、「ルイ・ヴィトン」が世界最大のラグジュアリー・ブランドという点だ。その売上高は、2022年には200億ユーロ(2兆8000億円)を突破している。これだけ売り上げるには、もはや「洋服好き」に支持されるだけではダメ。「アート好き」や「音楽好き」「ファッションを含むカルチャー好き」にも興味・関心を持ってもらえない限り、世界中の、老若男女に愛され、3兆円に迫る売上高を叩き出せるブランドにはならないのだ。また誰もが知っているからこそ、誰もがワクワクする人選が求められるブランドとも言えるだろう。

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NEWS 02

ファレルの新生「ルイ・ヴィトン」はどうなる 最新コレクションから考える

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 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の後任として、ミュージシャンのファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)を新たなメンズ・クリエイティブ・ディレクターに任命した。この人事に多くの人が驚き、同時に期待を膨らませているはずだ。ファレル・ウィリアムスとはどのような人物なのか。そして、ラグジュアリーの王者「ルイ・ヴィトン」はなぜ今、唯一無二のエンターテイナーをメンズのトップに起用したのだろうか。

 ヴァージルが2021年11月にこの世を去って世界中が悲しみ、同時に、彼が残した偉大なクリエイティビティを誰が引き継ぐのかが少しずつ話題になっていった。特に、カニエ・ウェスト(Kanye West)ことイェ(Ye)の名が挙がったときは賛否両論が起こり、ポール・エルバース(Paul Helbers)、キム・ジョーンズ(Kim Jones)、そしてヴァージルといった“ファッションデザイナー”の後任としてはあまりに飛躍した憶測だと思っていた。であれば、ロンドンのショー会場にマイケル・バーク(Michael Burke)=前ルイ・ヴィトン会長兼最高経営責任者(CEO)が視察に訪れていたマーティン・ローズ(Martine Rose)や、16年に「LVMHヤング ファッション デザイナープライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」グランプリ獲得後、飛躍的に成長を続けるグレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)の方が現実味があると考えていたし、同様の予想をするファッション業界人も多かった。しかし今回の人事で、イェのうわさが決して飛躍的でなかったことを証明したといえるだろう。

チーム力を示した
最新のメンズショー

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」3月3日号は、2025-26年秋冬メンズ・トレンド特集です。1月の「ピッティ・イマージネ・ウオモ」からミラノ&パリメンズ、さらに2月のニューヨークとロンドン、ミラノまで、全5都市93ブランドの最新コレクション290ルックから、新たなメンズのトレンドを探ります