イタリア発ジュエラー「ポメラート(POMELLATO)」のヴィンチェンツォ・カスタルド(Vincenzo Castaldo)クリエイティブ・ディレクターが約3年振りに来日した。
昨年、カスタルドはポメラート入社20年を迎えた。今までの「ポメラート」との歩みとブランドのDNAなどについて話を聞いた。
WWD:今回の来日の目的は?
ヴィンチェンツォ・カスタルド「ポメラート」クリエイティブ・ディレクター(以下、カスタルド):コロナ前の最後の出張が東京、そして、今回はその後初の出張だ。東京は大好きな町で、数年間来れずさびしかった。日本の文化が持つ繊細さや細やかさ、全てのことが儀式のようで魅了されている。“金継ぎ”コレクションのインスピレーションでもある。
WWD:昨年、ポメラート入社20周年を迎えたが?
カスタルド:入社初日のことを覚えている。当時のクリエイティブ・ディレクターが“ヌード”コレクションを見せてくれた。「ポメラート」の世界に飛び込んだ感じだ。もともと、家族経営だったが、ケリングの傘下に入り、2015年に私がクリエイティブ・ディレクターになった。それからハイエンドのファインジュエリーを提供するブランドに昇華させたことを誇りに思う。
WWD:20年間デザインしてきて変わった点は?
カスタルド:クリエイティブアプローチは変わらない。クリエイティビティー、イノベーション、アルティザンのあくなき探求を続けている。「ポメラート」が持つ類まれなDNAを守るのが私の役目だ。20年で周囲のジュエラーは変わったと思う。今では、ジュエラーだけでなく、あらゆるファッション・ブランドがジュエリーを販売するようになった。ジュエリーと人の関係も変化した。「ポメラート」は1967年創業当初から、日常に着けるジュエリーというビジョンを持っているが、50年前は、ジュエリーは特別なときに着けるものだった。それが日々着けるものという考え方になった。
WWD:ジュエリーをデザインする上で常に心掛けていることは?
カスタルド:全てのジュエリーが主役であるということ。また、消費者を驚かせるのではなく、タイムレスなデザインで、時代を問わず変わらない価値を持つジュエリーを提供したい。
「ポメラート」はミラネーゼのエフォートレスシックを表現
WWD:「ポメラート」のジュエリーの一番の魅力は?
カスタルド:1つ選ぶのは難しい。ミラネーゼの肩肘張らないエフォートレスシックを表現しており、クリエイティビティー、イノベーション、職人技のバランスが取れたエレガンスがあること。
WWD:最近、ハイジュエリーに注力している理由は?
カスタルド:67年の創業以来、ブランドとして成熟し、さらにプレシャスなものをつくるようになった。ハイジュエリーは予算の限度がないし、職人がじっくり時間をかけてつくる喜びを感じられる。楽しんで制作しているよ。
WWD:「ポメラート」とミラノには深い関係があるが、どのようなものか?
カスタルド:「ポメラート」はミラノ生まれ、ミラノ育ちのブランドなので、深いつながりがある。ミラノには金細工の伝統があり、デザインやモードの中心地でもある。そして、常に何かを探し求めるダイナミックさがある。ミラネーゼは現代的で、新しいものを求め、文化的な関心が高いと思う。
WWD:今後、新たにチャレンジしたいことは?
カスタルド:未来が私に何を運んできてくれるか楽しみだよ。