「ビジネスの力で、気候変動を逆転させる」というビジョンの下、イノベーションを推し進めてきた米国・サンフランシスコ発の「オールバーズ(ALLBIRDS)」は、2021年に米ナスダック(NASDAQ)に新規上場し、新たなフェーズに突入している。元プロサッカー選手で、代表商品“ウールランナー”の生みの親であるティム・ブラウン(Tim Brown)共同CEOにこれまでの歩みと手応えを聞いた。
WWD:画期的なメリノウールを使用した“ウールランナー”でデビューしてから7年目を迎えるが、ビジネスの手応えは?
ティム・ブラウン=オールバーズ共同CEO(以下、ブラウンCEO):天然素材のイノベーションカンパニーであることを核に進化を続けてきた。32カ国で50店舗以上を運営する規模に成長し、日本でも21年に2店舗目を丸の内にオープンした。今回実際に見ることができた同店は、私たちのデザイン哲学を表現してくれているホームのようだった。この土地に出店した重要性をあらためて感じた。今後も日本での存在感をさらに高め、顧客とのコネクションを強めていきたい。直近では、上場企業として私たちのミッションとパーパスの事業価値を証明しようと挑戦している 。ワクワクするような新たな段階に突入したところだ。
WWD:「オールバーズ」はサステナビリティをビジネスの中心に据えた先進企業としても知られる。あらためてサステナビリティをどう解釈している?
ブラウンCEO:まさに来日した目的は、そうしたサステナビリティにまつわる会話のためであり、ブランドの立ち位置を伝えるためだ。創業当時、業界は環境の話題に関して口先だけで実態が伴っていなかったが、今は気候危機が差し迫った課題として認識され始めていると感じる。ゴールは、サステナブルな商品を作ることではなく、素晴らしい商品を届けること。サステナブルというと、高くてあまり良くないものという消費者の認識を変えていきたい。これまで業界の技術革新が合成繊維やプラスチック素材に偏っていたなか、「オールバーズ」は天然素材の持つ可能性を信じてイノベーションを推し進めてきた。そうした革新的な商品への需要は今後さらに高まると思う。
100%植物由来の代替えレザーを開発
WWD:ナチュラル・ファイバー・ウェールディング(NATURAL FIBER WELDING)と開発した代替えレザーを使用した新作も発売したばかりだ。
ブラウンCEO:プラスチック製の合皮は市場に溢れているが、私たちは天然素材でレザー風の素材を作ることに挑戦した。天然ゴムや植物オイル、もみ殻などを使用して、従来のレザーよりもカーボンフットプリントを88%削減できた。さらにクオリティーを向上させていくつもりだ。
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