ビューティ
連載 ファッション業界人も知るべき今週のビューティ展望 第105回

高価格帯市場は競争激化

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 ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、国内外の大手化粧品会社が挑むスキンケア市場の話。(この記事はWWDジャパン2023年2月20日号からの抜粋です)

【賢者が選んだ注目ニュース】
花王2022年12月期は営業利益が334億円減、計画と大きく乖離
エスティ ローダーの22年7〜12月期、中国で再び急増するコロナとドル高で2ケタ減収

 国内大手化粧品の22/12期決算が出そろった。市場環境は共通して予想よりも厳しい環境であることを感じる。中国ではゼロコロナ解除後の混乱による消費低迷、米国の在庫調整や日本の売上も計画を下回った企業も多い。海外企業も、エスティ ローダー カンパニーズの10~12月期の決算では、アジア・パフィックの減収率はコンセンサスより大きく、23/6期通期の売上見通しも下方修正となった。中国はリオープニングに向かうものの、韓国免税店の出荷増が見込みづらく、海南島の売上回復度合いも従来の見通しよりは強くないと示唆された。日本企業も同様な見方をしている。

 花王の2022年12月期営業利益はコンセンサスを下回りネガティブだったが、23年12月期計画が慎重なことから株価は短期間で底打ちになると考える。原材料価格の高騰が続く23年は、日本のコンシューマープロダクツ事業(化粧品事業、ヘルス&ビューティケア事業、ライフケア事業、ハイジーン&リビングケア事業を総称。以下、CP)で「広く浅く」全面的な値上げが行われる方針。ただし、国内のCP売上計画は前期比1.4%増しか見込まれていない。原材料高が120億円増となる中、値上げを200億円と打ち出し、数量の減少を織り込んでいるからである。4期連続の会社計画未達成となった花王はまずは達成を重視し市場の信頼を取り戻したいのだろう。このまま原材料市況が落ち着き、円高が進むようであれば、なお同社の評価の好転は早いだろう。

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