ファッション

「エミ」のヨガウエアを支える旭化成“ロイカEF”

 機能性に優れたウエアがそろうマッシュスタイルラボの「エミ(EMMI)」の中でも、特に人気が高いヨガウエア。その一部に採用する “サステナレッチ”は、旭化成と2年をかけて開発したオリジナル素材だ。機能性とデザインを兼ね備え、しかもサステナブル。“ウェルネスライフ”を掲げ、女性に新たな価値観を提案することを目指す「エミ」にとって理想的なテキスタイルだ。

機能性と洗練されたカラーを追求
たどり着いたのは“ロイカEF”

 2015年にデビューした「エミ」は、同社のブランドの中でもいち早く再生・リサイクル原料由来の生地を商品に取り入れてきた。だがヨガウエア素材の開発では壁に突き当たった。さまざまなポージングで体全体を大きく複雑に動かすヨガにおいて、ウエアの伸縮や可動性は最優先事項。それら機能性に加え、ブランドらしい洗練されたカラー、デザインを環境に優しい素材で実現することを目指した。「ハードルは高かった。リサイクル原料由来のものから理想の糸を探したが、なかなか見つからなかった」と筬島亜樹企画本部「エミ」デザイナーは振り返る。

 試行錯誤を経てようやく巡り合ったのが、旭化成のリサイクル原料を使用したストレッチファイバー“ロイカEF”だ。旭化成は“ロイカEF”の原料調達、製造、納入に至るまで、サプライチェーンのあらゆる過程で環境負荷低減に取り組んでいる。例えば製造工場での冷却水の再利用や再生エネルギーの使用、廃棄物の最小化などが挙げられる。

“ロイカEF”に
リサイクルナイロンを交編
丸2年をかけ完成した
“サステナレッチ”

 この“ロイカEF”とリサイクルナイロンを交編することで、ヨガに必要なしなやかさと耐久性を兼ね備えたオリジナルテキスタイル“サステナレッチ”が完成した。リサイクル素材を使った生地は独特の硬さやテカリが出てしまうことが多いが、“サステナレッチ”は「エミ」らしいマットな発色も実現した。開発に要した期間は約2年。ファーストシーズン(20年春夏)はまず3型に採用し、以降少しずつ搭載商品を増やしている。

 23年春夏の“サステナレッチ”採用商品の売上高は、スタート当初から2倍程度を見込む。採用したのは、プルオーバー、ブラトップ、レギンス、キャミソールの計4型。イエロー、ブルー、オレンジなど全6色展開で、従来のマットな質感はそのままに、より彩度の高いカラーをそろえた。「コロナが落ち着きつつある中で、お客さまの外出へのモチベーションが高まっています。私たちも、“サステナレッチ”を着てアクティブに日常を楽しむ女性たちに、これからを前向きに生きるパワーを与えたいと考えています」。

次世代のストレッチ糸
“ロイカEF”の
サステナブルな循環

 しなやかな伸縮性と回復性に優れた旭化成のプレミアムストレッチファイバー「ロイカ」。衣料用途以外にもホーム・インテリアや副資材、サニタリーやベビーケアといった衛生用品など、幅広い用途で展開している。原料から製造プロセス、糸の販売に至るまでの全てのプロセスにおいて、冷却水の再利用や廃棄物の最小化など環境保全・負荷低減の取り組みを進めている。「サステナレッチ」にも使用されている“ロイカEF”は、従来廃棄されていた不要糸を原料として再利用し、通常糸と同レベルの品質と耐久性を実現している。

 旭化成の「ロイカ」は原料から製造、糸の販売に至るまでの全てのプロセスにおいて、環境保全・負荷低減の取り組みを進めている。“ロイカEF”は、従来廃棄されていた不要糸を原料として再利用し、通常の糸と同レベルの品質と耐久性を実現している。

ヨガでも、いつでも手放せない!
「エミ」スタッフ着用率が
完成度の証

 マッシュスタイルラボは近年、サステナブル原料を使った素材開発を加速している。2022年2月には主要取引先と「サステナブルアライアンス」を立ち上げ、自社商品に使う再生素材の面積・割合などの独自基準を設定した。基準をクリアした商品には専用アイコンを付す。

 全社的な取り組みに先立って、「エミ」はさまざまなリサイクル素材やオーガニックコットンを採用するなど、旗振り役となってきた。同社のサプライチェーンにおけるサステナビリティ推進をリードする岩木久剛マッシュスタイルラボ執行役員生産管理本部長は、“サステナレッチ”をサステナブルな素材開発の一つの成功モデルと捉える。「われわれにとって最もプライオリティーを置くべきはお客さまの“高揚感”。サステナビリティが着心地やデザインとのトレードオフになっていては意味がない。着心地の良さやカラーに惹かれ、直感的に(“サステナレッチ”を)選んでいただけている」と手応えを話す。

 “サステナレッチ”が支持される理由について筬島デザイナーは、「お客さま以上に、と言い張れるくらいに私たちがこの生地が好きだから」と語る。「企画チームも、店頭スタッフも、ヨガに限らず常に“サステナレッチ”を愛用しています。シアーなトップスのインナーにブラトップを着て、レギンスを穿けばオフィスでも恥ずかしくない。仕事帰りにそのままヨガをしたり、ランニングをしたりする女性が社内にも多い。私たちの“思い入れ”がお客さまに伝わっているのだと思います」。

 “サステナレッチ”の採用商品はリピート率も非常に高い。定番商品は作らず、毎シーズン一から型紙を起こす。「素材が同じでも、ついついもう1枚、もう1枚とコレクションしたくなるようなデザインや色使いを心掛けています。“サステナレッチ”の生地が持つ魅力を、もっと多くのお客さまに知っていただきたい。今後は生地のキックバックを高め、体をスタイルアップして見せる新シリーズなども企画したいと考えています」。

問い合わせ先
旭化成 ロイカ事業部 ロイカ営業部 テキスタイル担当
06-7636-3547