REPORT
ミニマルと個性が交差して生まれる新しいモード
「メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク 東京(MBFWT)」の最終日は、第2回「東京 ファッションアワード」を受賞した6ブランドがショーを行った。ほとんどのブランドがショーやプレゼンテーションを積極的に行うタイプではないため、発表方法もそれぞれ個性的で新鮮。2007-08年秋冬にスタートした「エトセンス(ETHOSENS)」も「東京 ファッションアワード」受賞に伴い、ブランド初となるランウエイショーを行った。
“LINE of INTERSECTION(交わる線)”をテーマに、多彩な要素が交差するスタイルを披露した。序盤はモノトーンのシンプルなカラーリングをメーンに、ブルゾンやワイドパンツにはホワイトのラインが交差する。中盤以降は小柄なモデルがオーバーサイズのウエアをまとったり、女性モデルがメンズウエアを着こなすなど、“外し”のスタイリングで異なる要素の交わりを表現し、終盤には手織りのホームスパンのセットアップやコートに、光沢感のあるインナーやパンツを合わせ、素材感でもテーマを主張した。スーパーロングなストールやベルトなど、16-17年秋冬東京のトレンドキーワードに浮上している“垂らす”アイテムが登場し、スタイリングにアクセントを加えた。
本来、「エトセンス」が得意とするミニマルなモードは、無駄を徹底的にそぎ落としたクリーンなスタイルである。そこにノージェンダーや小柄な体型など、モデルの個性がいい意味でブランドの世界観に変化をもたらし、今後の可能性を感じるショーだった。またモデルの多くが“線”を表現したセットにつまずくという、初のランウエイショーならではのハプニングもあった。