「オニツカタイガー」はミラノ・ファッションウィーク中の2月22日、2023-24年秋冬コレクションを発表した。クリエイティブ・ディレクターのアンドレア・ポンピリオ(Andrea Pompilio)が今季フォーカスしたのは「重ね着」。レイヤードは今季のミラノのトレンドのひとつだが、同ブランドが他と違うのは、それが着物に由来し、ブランドのスポーティなDNAのフィルターを通すことで、エッセンスを抽出している点だ。日本通でもあるポンピリオの日本文化の解釈は深く、ありがちな“キモノスタイル”とは一線を画してさりげなく、都会的だ。
着物からヒントを得た
軽やかな“アーバン・レイヤード”
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なぜ今、レイヤードなのか?その答えをポンピリオはコレクション・テーマ“アーバン・レイヤリング”を通じて伝えている。私たちの生活はこの数年で激変した。オンタイムは屋内での時間が増え、オフタイムは屋外の空気を求める。そして天気は変りやすい。そんな変化が多い都会生活を快適に過ごすために、着脱しやすい軽量な重ね着スタイルが提案されている。コートに見るオーバーサイズ感や流れるようなテーラーリングは着物から着想を得たものだ。そこにブランドのDNAであるスポーツの要素を掛け合わせることで独自のスタイルを築いている。
軽やかさを演出するキー素材が、透け感のあるキルティング・シフォンで、シャツに仕立ててメルトンのテーラードジャケットやブルゾンと合わせる。いずれのアイテムも重ねてボリュームを出してもかさばりにくいパターンが特徴で、同じくキルティング・シフォンのショートパンツは重量感のあるボクサーショーツに重ねている。モヘアタッチのニットで作ったジャイアントタートルネックなど体と心を優しく包む肌触りの良い素材使いも欠かせない。
また、「オニツカタイガー」のパイオニア精神と本物志向を物語るスペシャルなアイテムも登場した。ボリューミーなアノラックは、日本初のダウンウエアブランド「ザンター(ZANTER)」とのコラボレーションによるものだ。「ザンター」は1956年に日本の第1次南極観測隊へダウンウエアを提供したことで知られるブランド。実は「オニツカタイガー」もまた当時、局地防寒靴を提供していた。日本の冒険家の命を支えた2つのニッポンブランドは2015年に初めてコラボレーションをし、今季再びタッグを組んだ。良質なバージン羽毛を使用し、羽毛の吹き出しを防ぐための技術“ダウンプルーフ加工”を施すなど本質にこだわっている。
アジア各国から
トップインフルエンサーが集合
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バックステージでアクセサリーやディテールをチェックしよう。レザーのアンクル丈レースアップや膝下丈のブールは丸みを帯びたシルエットがエレガントで軽やかだ。また中空なデザインとGELテクノロジーを組み合わせた斬新なソールと機能性を兼ね備えた新しいランニングシューズも登場した。前身頃がメルトンのコートのバッグスタイルは透け感のあるキルティング・シフォンで切り替えてある。なお、今季から新しいロゴを採用。シグネチャーカラーであるイエローとブラックの大胆なレタリングでショッパーなどにお目見えする。
ショーを盛り上げたのは、「オニツカタイガー」をそれぞれに着こなすゲストたちだ。特にアジアからは多数のトップインフルエンサーが集合。日本の岩橋玄樹をはじめ、日本でも人気が高いタイの俳優ガルフ・カナーウット(Gulf Kanawut)、韓国の俳優チョン・イル(Jung Ilu)、インドの女優ラシュミタ・マンダナ(Rashmika Mandanna)、フィリピンの女優ハート・エバンゲリスタ(Heart Evangelista)、ほかにインドネシアやマレーシア、シンガポール、ヴェトナムからも多くのフォロワーを抱えるセレブリティが大集合しフロントローを彩った。