東京を代表するセレクトショップ「GR8(グレイト)」が快進撃を続けている。ラフォーレ原宿の2.5階の全フロアを専有し、「バレンシアガ」や「グッチ」などのラグジュアリーブランドから、ストリート系、デザイナー系まで有名無名・多種多彩な世界中の高感度ブランドを扱い、東京のみならずアジアを代表するセレクトショップとして大きな存在感を発揮してきた。当初20坪だった店舗は年を追うごとに拡張し、2月23日には1階に20坪のサテライトスペースを出店する。コロナ禍前は主力だったインバウンドの消滅にもかかわらず、過去最高を記録したという。コロナ渦中も、以前と同じく爆走を続けた久保光博オーナー兼バイヤーを直撃した。(この記事はWWDジャパン2023年3月6日号からの抜粋です)
久保光博/「GR8(グレイト)」オーナー兼バイヤー
PROFILE:1975年生まれ。2005年に東京・原宿のラフォーレ原宿に「GR8(グレイト)」を20坪でオープン。以降、「グレイト」は数年ごとにラフォーレ原宿内で店舗を拡張。21年5月には2.5階全フロア(約140坪)に拡張していた。久保氏は17年に「ビジネス・オブ・ファッション(BoF)」の「BoF500」とハイプビーストの「HB100」に選出 PHOTO:TAMEKI OSHIRO
コロナ前は中国を中心とした訪日客を中心に支持を集めていた同店舗だが、「コロナ禍で一番苦しかったのは、終わりが見えなかったこと。ロックダウンになって、いつまで我慢すればいいのか、仕入れをどのくらい絞ればいいのか、全て分からない。ではどうしよう」となったときに久保オーナーがやったことが、「気付いたらいつも以上に買い付けて、取り扱いのブランドも広げた」。加えて「こんな状況で買っていただけるお客さまには感謝しかない。そうだ、いつもは(セール期間中以外は)しないけど感謝を込めてセールをやろう」。
22年7月期は売上も利益も過去最高に
コロナ禍で他のセレクトショップが思うように仕入れを伸ばせない中、結果的に逆張りになった「グレイト」は売れに売れた。「インバウンド向けに振り切っていたMDも、実は日本市場向けにチューニングし、ベーシックなアイテムやカラーを充実させた」。その結果、2021年7月期こそは前年比15%減を強いられたものの、22年7月期は売上高、利益とも過去最高を記録した。「仕入れを増やして、オンライン販売にも力を入れたから」と言うものの、取引のあるブランドの中には、突然のコロナ禍で売り先の店舗から仕入れを止められ苦しいブランドもあった。「原則、ブランド側からの要望があった場合以外は、仕入れを減らさなかった。少しでもブランドのためになればいいと思ったから」。
久保オーナー率いる「グレイト」は、いろいろな意味でユニークな存在だ。クセの強いブランドがひしめくラフォーレ原宿の中でも、ひときわ異彩を放つその存在感は、2.5階を専有するラフォーレ最大の店舗面積だけではない。ラフォーレ原宿の「裏正面」入口に接する2.5階の同店舗は、あらゆる点で従来のラグジュアリーセレクトショップとは一線を画す。壁面はシルバーとミュージックビデオを流す無数のTVモニターが並び、爆音が鳴り響く。所狭しとラックとラックにかかった服が並び、それらで仕切られた店内は、まるで入り組んだ迷路のようで、誤解を恐れずに言えば「ドン・キホーテ」や古着屋の雰囲気に近い。
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