リゾートホテルを運営するアマン(AMAN)のライフスタイルブランド「アマン エッセンシャルズ(AMAN ESSENTIALS)」から新スキンシリーズ“アマン エッセンシャルスキン”が誕生した。コーセーがOEMとして商品開発に協力し、無香料処方を採用したミルククレンジング、化粧水、美容液、フェイスクリーム、アイクリームの5品をラインアップする。
全ての商品に、アマンが掲げる「古代の遺産から叡智を讃える」という理念をかなえるべく、日本古来の栄養価が高い紫玄米とミネラルを豊富に含む藍の2つの植物成分を厳選して配合した。伝統的な2つの植物成分の働きにより、紫外線や乾燥などの外的環境によるダメージにアプローチする。世界20カ国のアマンブティックで販売し、今後、ロンドンの高級百貨店ハロッズでの取り扱いも計画する。
“アマン エッセンシャル スキン”を手がける、モデルでアマン エッセンシャルズCEOを務めるクリスティーナ・ロマノヴァ(Kristina Romanova)氏とコーセーの小林一俊社長に話を聞いた。
WWD:今回のプロジェクトはどのように始まったのか。
クリスティーナ・ロマノヴァ=アマン エッセンシャルズCEO(以下、クリスティーナ):2018年に誕生した“アマンスキンケアコレクション”は、お客さまから「アマンのスパで使っていたアイテムを商品化してほしい」というリクエストがあり、誕生した。自宅のバスルームに置いてでもホリスティックなスパ体験をしてほしいという思いから、ボディーケアをはじめ、サプリメントやキャンドルといったライフスタイルの商品を拡充し、お客さまにも評価されてきた。その延長線で、スキンケア"アマン エッセンシャルスキン"を作るということは自然の流れであった。
小林一俊コーセー社長(以下、小林):コーセーとアマンの関係は、21年にアマン・スパでハイプレステージブランド「コスメデコルテ(DECORTE)」の最高峰ライン“AQミリオリティ”のアイテムを使用したトリートメントを導入したところから始まった。以降、関係を深める中で、スキンケアシリーズの話をいただいた。
クリスティーナ:今回のスキンケアは、日本のメーカーと協力して作りたいと願っていた。私は日本のビューティをとても尊敬しており、文化をはじめ、細部にわたって完璧主義であるところが、日本の素晴らしい魅力だと思っている。コーセーは、商品をスパで導入していたこともあり、非常に質の高い商品を作っているということを知っていた。2年以上にわたる協業によって、ジェンダーや肌タイプ関係なく使っていただける商品に仕上がり、誇りを持って紹介できる商品となった。私自身、すでにこれなくしてはいられないほどになっている。
WWD:「コスメデコルテ」をアメニティーにするという考えはなかったのか?
クリスティーナ:アマンは世界観を大切にしており、世界観に合うものを作りたいという意識が強い。(アメニティー含め外部に)全てお任せするという方法を好まない価値観を持っている。
小林:アメニティーではなく、アマンと一緒にラグジュアリーラインとして作るのはコーセーにとっても大きな意味がある。(アマンからはわれわれが)乗り越えていかなければならない多くのリクエストがあったが、それに応えようと、開発に携わった若手の精鋭部隊(企画担当者)は大きく成長した。これまでの延長線上にないチャレンジとなり、刺激をもらいながら非常に面白い取り組みができた。
WWD:こだわったところは。
クリスティーナ:保湿でありながら、ヘビーすぎないテクスチャーが重要だった。さまざまなアマンのデスティネーションを取り巻く環境で、山や砂漠など劣悪環境にさらされる肌を真剣に考えた。あらゆる気候・環境に対応できる、浸透力の高い保湿性と非常に柔らかくシルキーなテクスチャーを実現できた。また、都市型のニーズにこだわり、旅行に持ち歩きしやすく、シンプルでクリーンなデザインに仕上げた。
小林:開発メンバーからサンプルは通常よりも多く、10以上作ったと聞いている。アマンからは安全性から成分、品質、デザイン性、意匠など妥協することなく、さまざまな視点でこだわりのある意見をいただいた。コーセーが長い歴史の中で培ってきた知恵と技術を駆使し、経験したことのないような使用感と幸福感をもたらすような商品に仕上がっている。
WWD:無香料にした理由は。
クリスティーナ:個人の感覚としては、ラグジュラリーのスキンケア=香りではない。効果や成分の方がよりラグジュアリーとつながりが深いと感じている。それに香りはそれぞれ好みがある。香りがないことで、商品自体の良さを繊細に感じ取れ、研ぎ澄まされた肌感覚までも深く満たすことができる心地よい高機能スキンケアを作り上げた。
WWD:コーセーにとって今回のタッグによって得られるものは。
小林:世界中のアマンファンや、アマンの世界観に共感する方々に、この商品が自然と受け入れられ評価されるようになれば、成功したと言えるだろう。得られるものとしては日本だけではなく、世界中でこれまでコーセーと接点がなかった新たなお客さまや、取引先との出会いをもたらしてくれると考えている。早速、海外から高い評価をいただいている。
WWD:今後、継続する予定は。
小林:コーセーではあらゆるステークホルダーと高め合う関係性を「Beauty Partner Ship(以下、BPS)」と呼んでいる。アマンとの取り組みはまさに、BPSの考え方を体現しており、今後の新たなつながりや関係の強化など、さまざまな可能性を秘めた取り組みだと感じている。
今回、アマンとパートナーシップを築き、アマンの最高のホスピタリティー、そしてラグジュアリーの哲学に触れ、当社のさらなる飛躍に向けて夢が広がった。今後も良きパートナーとして、お互いを高め合いながら、世界の皆さまに愛される商品を作っていきたい。