「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、転売ヤーに負けずにレアスニーカーを買うための“ドレスコード”のお話。
ソーシャルエディター津田:昨今は毎週のようにコラボアイテムや別注などのレアスニーカーが発売されています。そしてSNSではその度に、購入完了画面やSOLD OUTの文字が書かれた画面が大量にポストされます。生産数を絞り、「買えた」「買えなかった」とシェアさせることで莫大な広告効果を生み出しているSNSマーケティングですね。特に「ナイキ(NIKE)」の公式アプリ「SNKRS(スニーカーズ)」では、購入できた場合は大きく"GOT'EM"と表示され、購入できなかった場合は"落選しました。"が表示され、ユーザーたちはこの画面を悲喜交々SNSに投稿しています。SNSでシェアするための導線もUIに組み込まれており、わざわざスクショする必要もありません。巧みです。ただ毎週のように繰り広げられるスニーカーゲームに若干疲れた気持ちもあります。
更に転売ヤーの存在も相まって、欲しいスニーカーがなかなか買えない日々が続く中、「この売り方いいんじゃない?」と思ったのが、「アシックス(ASICS)」とカナダのファッションブランド「ジョウンド(JJJJOUND)」が昨年コラボスニーカーを発売した際の「ジョウンド」側のECでの販売方法です。商品をカートインした後に決済画面に飛ぼうとすると、「私たちのスタジオがある都市はどこでしょう?」という質問が英語で表示されるのです。しかも選択式ではなく、自由回答という難易度の高さです。私もカナダのブランドというのはわかっていたのですが、モントリオールとまではすぐに回答できず、ググっているうちに完売していました。「せっかくカートインまでできたのに!」という残念な気持ちもありましたが、これはクレバーな売り方だなと思いました。足数をある程度絞って希少性を保ちながらも、専門性のある問題を出題することにより、ファンやオタクたちがより買いやすくなって、転売ヤー対策もできる。「シュプリーム(SUPREME)」がハイプな商品を販売する際は、特定の商品を着用していないと抽選に参加できないという“ドレスコード”を設けていますが、こちらは知識がドレスコード。素敵です。ぜひこの販売方法がさまざまなブランドに広がってほしいです。もし商品が買えなくても、「自分が勉強不足だったんだな」と諦めがつくので。ちなみに後からわかったのですが、都市名の正答は"モントリオール"、又は"カナダ"だったらしく、"カナダ"と入力すればよかったと激しく後悔しました(笑)。
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