アダストリアが運営するライフスタイルブランド「ニコアンド(NIKO AND…)」は、東京をホームタウンとする14のスポーツチーム・団体が合同で取り組むプロジェクト「トウキョウ ユナイト(TOKYO UNITE以下、TU)」のショップを、3月10日に開業する東京ミッドタウン八重洲2階にオープンする。物販だけでなく、併設するカフェスタンドでスポーツイベントのパブリックビューイングなども企画し、コミュニティー化を目指す。商品はアダストリアの自社EC「ドットエスティ(.ST)」でも販売する。
「TU」は、読売新聞社が軸となり2022年7月に発足。子どもたちがさまざまなスポーツに触れる機会を設けたり、貧困家庭にシューズを提供するプロジェクトを行ったりしている。参加しているのは、野球の「読売ジャイアンツ」や「東京ヤクルトスワローズ」、サッカーの「F.C.東京」、日本相撲協会、ラグビーの「東京サントリーサンゴリアス」、バスケットボールの「サンロッカーズ渋谷」など。アダストリアは「TU」オリジナル商品や参加14チーム・団体のグッズのデザインと生産、ミッドタウン八重洲の店舗の運営を「TU」から請け負っている。
ミッドタウン八重洲の店舗が「TU」の1号店となる。物販とカフェスタンド部分を合わせて、店舗面積は約180平方メートル。物販スペースでは、14チーム・団体それぞれの声を聞きながら、アダストリアが企画したTシャツ(6050円)やスエットトップス(8250円)、折り畳み傘、タオルなどの商品をそれぞれコーナー別に展開する。例えば「読売ジャイアンツ」の商品は、象徴的なオレンジ色は使いつつも直球のロゴなどは使用せず、「試合観戦時だけでなく日常生活でも着られるデザイン」(星野明アダストリア執行役員ニコアンド営業本部長)だ。Tシャツには吸汗速乾の「クールマックス」を使用するなど、機能性素材を多数取り入れている点もポイント。
「将来的にはスタジアムにも卸販売したい」
チーム別商品のほか、訪日客を意識したはっぴ風の羽織りやダルマの置き物などを「TU」オリジナル商品としてそろえる。また、アダストリアが「ニコアンド」内で立ち上げたスポーツブランド「ヌメラルズ(NUMERALS)」の商品も扱う。物販部分の商品構成は14のチーム・団体のオリジナル商品が85%、「ヌメラルズ」が10%、「TU」オリジナルが5%弱。
現時点では、アダストリアが企画・生産する14チーム・団体のオリジナル商品が購入できるのは、同店舗と「ドットエスティ」のみ。「将来的には、14チーム・団体のホームスタジアムや試合会場のグッズ売り場にも卸していきたい」と青写真を描く。折しも野球のスタジアムなどは、野球ファン以外のライト層の取り込みを目指し、バーベキュースタンドを設けたり、商業施設併設型にしたりといった動きが目立つ。そうした流れの中で、アダストリアとしても販路拡大を目指す。「TU」単独店出店については、2号店以降は白紙という。
「ニコアンド」は、「ヌメラルズ」以外にもブランド内ブランドを複数持ち、カフェを併設するなどしてショップの大型化を進めてきた。しかし、「大型店は出店数に上限がある。コロナ禍を経て、『ニコアンド』の大型店の中に多数のコンテンツを持ってお客さまを呼び込む形ではなく、各コンテンツが外に出ていって、異業種や新しい販路で新しい知見・ネットワークを築こうという考え方に変化している」という。今回の「TU」の取り組みもそうした考え方の一環。