日清紡子会社で繊維商社のニッシントーア・岩尾とネスレ日本、凸版印刷、CNCら14社・団体はこのほど、廃棄資源や食品残さのリサイクル率向上を目的とした社団法人アップサイクルを立ち上げた。リサイクル率の高いイメージのある紙製容器・包装だが、家庭から排出される73.8万トンのうち、実はわずか2.7%しかリサイクルされていないという。アップサイクルはニッシントーア・岩尾の森原博テキスタイル部長が代表理事を務め、理事にはネスレの嘉納未來・執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長が就く。会員には他に日本ロレアル、メットライフ生命、艶金なども参加する。設立の背景についてネスレの嘉納執行役員は「小売店を通して消費者に販売するメーカーの立場だと、消費者から出る廃棄物を回収するのは難しかった。社団法人化することで、幅広い企業の参加につなげ、消費者の行動変容に促したい。今後は小売店や行政など、幅広い業種・業界に積極的に働きかけていく」と呼びかける。
アップサイクル設立の第一弾として、ニッシントーア・岩尾が廃紙や間伐材から紙糸「ツムギ(TSUMUGI)を生産し、衣服として展開する。すでに昨年10月に、お笑い芸人のロングコートダディがデザインしたTシャツ「サステナの虎」を5500円(税込み)で販売している。また、ネスレ製品の空きパッケージを回収するボックスを、東京・原宿のカフェ「ネスカフェ 原宿」や神戸、松山などのリサイクルセンターなど10カ所に設置。改修後はアップサイクルして、「ネスカフェ原宿」などネスレ日本の直営店のユニフォームとして使用する。
ニッシントーア・岩尾の森原部長は「紙糸は吸湿性や軽量性が特徴。一般の人に身近な衣服を通してアップサイクルをもっと身近に感じてほしい。まずは繊維でスタートするが、今後は他の素材や製品にも広げたい」という。