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アルビオン22年12月期は国内堅調で増収増益 「アルビオン」中国の代理店契約終了

 アルビオンの2022年12月期決算は、メイクアップの好調や国内売り上げの回復が寄与し、売上高が前期比1.4%増の557億円、営業利益が約45倍(同3452%増)の33億円、純利益が約21倍(同1065%増)の29億円だった。なお、22年度から決算期を3月から12月に変更している。

 部門別では、営業本部(国内)の売上高が同4.6%増だった。チャネル別は専門店が1.2%増、百貨店が12.7%増と好調に推移した。ブランド別では「アルビオン(ALBION)」の売上高が同2.2%減、「イグニス(IGNIS)」が同3.7%減、「エレガンス(ELEGANCE)」が同25.8%増だった。「アルビオン」「イグニス」は前年に届かなかったが、「エレガンス」は日本在住の外国人バイヤーによるフェイスパウダー“ラ プードル”の購入が目立ち、全体の売り上げを押し上げた。一方で「仮に外国人バイヤーの売り上げを除いた場合、試算では13~15億円の営業損失になるところだった。数字は表面上悪くはないが、内容を見ると課題の多い1年だった」(小林章一アルビオン社長)と振り返る。カテゴリー別では、全体の構成比が58.8%を占めるスキンケアの売上高は同1.6%減、ベースメイクは同18.8%増、ポイントメイクは同18.8%増だった。

 22年8月にデビューしたスキンケアシリーズ“フラルネ(FLARUNE)”の販売実績は、21年の“エクサージュ”と比較すると、売上高は同9.2%増、販売個数は11.9%増だった。小林社長は、「デビュー時には広告を全く打たなかったが、順調な滑り出しを見せた」と話す。客層は、想定していた20~30代客が中心で、売り上げの8割を占めている。

 国際事業部の売上高は同9.4%減だった。ブランド別の売上高は「ポール & ジョー ボーテ(PAUL&JOE BEAUTE)」が同5.4%増、「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」が同35.4%減、「アルビオン」が同8.2%減だった。

 「ポール & ジョー ボーテ」は、化粧下地“ファンデーション プライマー”の売り上げが同14%増、9月に発売したクリームファンデーション“フォンダン クリーム ファンデーション”がけん引しベースメイク全体が好調だったが、11月に発売したアドベントカレンダーコフレが不調だった。小林勇介・専務 国際事業本部 本部長は「今年度は、とにかくプライマーの魅力を積極的にアプローチし、新客獲得に注力する。また、今秋に新しいファンデーションを発売する予定だ。SNSや店頭含め、プロモーションを強化する」と話す。「アナ スイ コスメティックス」は21年に百貨店の取り扱いを停止したが、昨年から新たに直営店で展開し「今年度はさらにブランドの魅力を発揮できるように環境を整えていく」(小林専務)という。

 「アルビオン」は、ロックダウンが影響した中国は低迷したが、韓国や台湾などは前年をクリアした。「中国においては、これまで専門店を中心に代理店ビジネスを約20年続けてきたが、昨年12月に終了した。近年、取り引きをしていない商品がウエブで販売されるなど、専門店のビジネスを通じて流通の把握が困難になっていた」(小林専務)と説明。今後、中国事業は同社が直接運営する新体制を敷くという。5月には、22年5月に刷新した“薬用スキンコンディショナー エッセンシャルN”を中国で販売する予定だ。直営店のオープンも控えており、Tモール(天猫国際、T MALL)や免税店においても積極的な活動を行う。

 今年は同社の強みである美容体験などの店頭活動に集中する。小林社長は、「アルビオンはこれまでの歴史の中で、1回も広告で売り上げを伸ばしたことはない。店頭で目の前のお客さま一人一人に触れる活動を通じて、商品を実感・納得していただき、着実にお客さまを増やしてきた。今後マスク着用の義務化が解除されることから、本年度はさらにお客さまに満足していただける活動を徹底していきたい」と力強く意気込みを語った。

 なお、「アルビオン」の美容液“エクラフチュール”を5月18日にリニューアル発売する。さらに、同ブランドから新たにメイクアップシリーズ“アルビオン スタジオ(ALBION STUDIO)”(全5種、価格帯3000~5500円)を立ち上げ、8月18日に発売する。メイクアップベース、ファンデーション、ハイライト、部分ファンデーション、フェイスパウダーをラインアップする。

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