ヘアだけでなく、メイクアップもこなす美容師を“二刀流美容師”としてピックアップする連載企画。インスタグラムによる集客が主流となった今、ヘアスタイル投稿だけでなく、メイク投稿もできるとサロンユーザーの関心をより引き付けられるため、注目度が増している。第2回は「SHIMA HARAJUKU(シマ ハラジュク)」の高垣賢司スタイリスト兼ヘア&メイクに、 メイクを始めたきっかけや、美容師がメイクもやることのメリットを聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):メイクを始めたきっかけは?
「SHIMA HARAJUKU」高垣賢司スタイリスト兼ヘア&メイク(以下、高垣):もともと興味はあったけれど、実際に始めたのは4年前くらい。ヘアスタイル写真を撮るときに、自分のやりたいイメージにより近づけたいと思い、メイクアップも自分でやるようになった。作品撮りの際、メイクは得意なスタッフに任せるスタイリストが多いけれど、僕は興味があったし、全部自分でやりたかった。
WWD:どうやって勉強した?
高垣:ユーチューブなどの動画を見て独学で学んだ。営業後にモデルさんを呼んで、少しずつ実際にチャレンジするということを続けて、お客さまに入ったのは2年前くらい。インスタグラムで、ヘアスタイルと同時にメイク作品も投稿していたが、その反響があり、お客さまから「メイクもやってもらえるんですか?」という質問があった。それをきっかけにメニューに取り入れていった形だ。インスタグラムで、美容師によるヘアスタイル投稿はジャンルとして確立しているけれど、メイクは未知数。まだ試行錯誤の途中だが、普段はあまりやらないような、少しエッジイなメイク投稿の方が反応が良いようだ。
WWD:メイクメニューはどのような顧客がオーダーする?
高垣:結婚式や卒業式、パーティーなどのイベントの前に来店する方が多い。先日はマッチングアプリに使う画像の撮影のためにオーダーしてくれた方がいて,今っぽいなと感じた。また、やり方を教わって自分でできるようになりたい、という方も少なくない。「今年のメイクはどんな感じですか?」とか「おすすめのマスカラは?」などと聞かれるケースも増えた。人それぞれ髪質が違うように、肌質やまつ毛の毛質なども違う。回数を重ねるにつれ、それに合った提案もできるようになった。
WWD:メイクもできることのメリットは?
高垣:よりトータルビューティの提案をできるようになった。ヘアカラーに合わせて「こういう色にしたから、このアイシャドウが絶対かわいいですよ」とおすすめしたり、ハイトーンに合うまつ毛のカラーを提案したりすると喜んでもらえる。ヘアカラーの作品撮りの際も、ヘアだけ手掛けて撮るよりも、メイクも合わせて変えて撮った方が絶対にかわいく見せる自信があり、僕の強みになっている。最近はサロンワークのほかにヘアメイクの仕事もするようになったが、お店の他のメンズスタッフもメイクに興味を持ってくれるようになった。お客さまにとっても、美容室に来てヘア以外の情報も吸収できることは、メリットになると思う。
WWD:今年の春夏はどんなヘア&メイクを提案したい?
高垣:ヘアカラーに関しては、「イルミナカラー(ILLUMINA COLOR)」から4月に登場する新色3シェードを提案したい。これは、L.A.(ロサンゼルス)の自然や街からインスパイアされた、“マリーン”“ビーチ”“サンセット”の3シェード。ソフトアッシュベージュが入っているため、くすまずに柔らかい色味が出せる。
WWD:合わせるメイクは?
高垣:“マリーン”はブルーグリーンが入っているので、外国人風カラーにより適している。メイクを合わせるなら、シェーディングでほりの雰囲気を変えることで、より外国人っぽく見せることができる。あとアイラインとアイシャドウで目の印象を変えることもおすすめ。“ビーチ”は暖色と寒色の中間のニュアンスで、柔らかさを残しつつ、クールなベージュを表現できる。アイシャドウを合わせるなら、淡いオレンジ系がおすすめ。“ビーチ”はとても気に入っていて、キービジュアルを作らせてもらった際は、L.A.のきらめきを表現するためブラウンとゴールドのアイシャドウを使ったが、ばっちり決まってかわいく仕上がった。また別軸で、韓国のトレンドもまだあるが、それを求めるお客さまには柔らかい青みピンク系の目周りと、淡く広めに入れるチークを提案したい。合わせるヘアカラーは、「イルミナカラー」の“サファリ”や“アンバー”がおすすめだ。
WWD:「イルミナカラー」の新色3シェードはベージュベースだが、メイクは合わせやすい?
高垣:ベージュにもよるけれど、いろいろな色を取り入れやすくなる。アイシャドウはヘアカラーに通じているところがあり、絶妙にくすませるなど、ヘアカラーとの似合わせで提案の幅が広がる。