新型コロナ対策のマスク着用が個人判断となる3月13日を機に、化粧品メーカー各社が脱マスク時のメイク提案を行っている。コロナ禍で低調傾向にあったカラーリップを中心に、口元にフォーカスしたメイク提案が多くみられるほか、マスク着脱が増えることから化粧もちや崩れにくさに着目したベースメイクを訴求する。カラーリップやベースメイクアイテムの需要が増え、化粧品市場が活気づきそうだ。
コーセーはマスクとメイクの意識調査を実施(男女500人)した。「常時マスクを着用する」と回答した人が51%を占め、マスクを外せることのメリットに「息苦しくなくなる」「相手の表情が分かる」が上位だった。また、「メイクが崩れない」「メイクを楽しめる」という意見がある一方で、デメリットとして「メイクの手抜きがばれてしまう」「メイクをするのが面倒」という声もあった。そこで、同社はマスクのオン・オフでも楽しめるメイクを提案する。
土橋脩ヘア&メイクアップアーティストは、「昨年は、ベースメイクがセミマット、唇がマットと、ポイント・ベースメイクでほんのり血色感のあるメイクを提案した。今回は、ベースメイクが艶肌で、口元が艶と発色を強めたメイクを提案する」と述べた。カラーリップについては、「プランパーで下地を作り、ここ数年のトレンドだった手持ちのマットリップを使うと今年らしい艶感のある仕上がりができる」とアドバイスした。また、唇の内側の粘膜に近い色を表現する“粘膜リップ”がトレンドになっていることから、「ヴィセ」から粘膜色が長続きし、マスクにも付きにくい“ネンマクフェイク ルージュ”(全6色、税込各1540円※編集部調べ)を5月16日に発売する。
同社は、マスクのオン・オフでも楽しめるリップメイクを提案するブランド横断型キャンペーン「唇を、裸にしない。」も開始。12月31日までの期間中は、対象ブランドとなる「エスプリーク(ESPRIQUE)」「ヴィセ(VISEE)」「ファシオ(FASIO)」のリップアイテムを中心に、同社の直営店メゾンコーセー(MAISON KOSE)や公式サイト、鉄道の社内広告などを通じてプロモーションを実施する。
再びフルメイクを楽しむムードに
ポーラは、マスクオフと共に、再びフルメイクを楽しむムードになると予測。その中でリップ主役のカラーメイクを提案する。リップは高発色と艶感がトレンドであることから、鮮やかなピンクやオレンジ色のリキッドルージュを提案。主力ブランドの「B.A」の“リキッドルージュセラム”(全6色、税込各5720円)などを打ち出す。ベースメイクについては、マスク着脱の頻度がより増えるとし、「カバー」「化粧もち」 「お直し後の仕上がり」を両立するベースメークニーズが高まると分析。「B.A」“セラムクッションファンデーション”などの、カバー力と艶を両立し、化粧直しにも適した クッションファンデーションを訴求する。
カネボウ化粧品は、トレンドの落ちにくさと保湿力を兼ね備えた高発色リップを提案する「ケイト(KATE)」の口紅“リップモンスター”から、シーズンごとに新色を発売する“マイ リップモンスター” (全12色、税込各1540円※編集部調べ)を3月21日に発売する。全4回のシーズンで新色を提案。シーズン1は、1〜3月をテーマにオレンジやブラウン、ミルクティーカラーの3体のモンスターの限定色が登場する。“リップモンスター”は2021年の発売以降、累計(21年4月〜22年12月)800万本を突破した、Z世代を中心に人気を集めている。
そのほか、美容機器メーカーのヤーマンは、マスクを外す機会が増え表情筋が気になる人に向けて、同社の美容機器を使用してトレーナーが1on1で“美人づくり”をサポートするポップアップを3月15日〜全国の百貨店で開催する。カラー・ベースメイクにとどまらず、各社は得意とするカテゴリーで“マスク自由化”を契機に新たな施策を打ち出している。