「ピガール(PIGALLE)」創設者兼デザイナーのステファン・アシュプール(Stephane Ashpool)は、2024年にパリで開催する夏季オリンピック・パラリンピックの、フランスチームのアーティスティック・ディレター兼シニア・デザイナーに就任した。アシュプールは、同大会のパートナー企業「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」と共に、30以上のオリンピックおよびパラリンピック用のスポーツウエアのほか、公式訪問やメディアパフォーマンス、メダル授与式、選手村でのユニホームなど全ての公式スポーツウエアを手掛ける。
アシュプールは、フランス・パリ出身。08年にパリ・ピガール地区のストリートコートのリノベーションを手掛けたことをきっかけに、バスケットボールアイテムを取りそろえたセレクトショップ「ピガール」をオープンした。翌年、スポーツとストリートウエアを掛け合わせた同名のファッションブランドを立ち上げる。バスケットボール選手を目指してパリのクラブチームで長年プレーしていた経験から、中学生のバスケットボールチームのコーチを務めたり、自身のブランドでは「ナイキ(NIKE)」をはじめとした大手スポーツブランドと協業したりし、さらに安全にプレーできるストリートコートを世界各国に設置するなど、スポーツカルチャーの発展に尽力してきた。
アシュプールは、パリ・メンズ・ファッション・ウィーク期間中の1月中旬に、限られたメディア関係者を自身のアトリエに招待し、制作中のパリ夏季オリンピック・パラリンピックの公式スポーツウエアを披露した。デザインで最もこだわっているのは、「国境を超えたつながりを生むスポーツと、多文化主義のフランスの多様性を表現すること」と語る。
ユニホームは、フランスの国旗カラーをグラデーションで彩り、国鳥であるコック(おんどり)のフェザーを想起させるデザインが特徴だ。国際的な規模の競技大会であることから、デザインにおいての制限は多く、試行錯誤の繰り返しだったという。「スポーツウエアで重視されるのは機能性だ。各競技の専門家との対話を通して、吸汗速乾性や通気性、抗菌防臭性、UVカット機能など、あらゆる機能を革新的な技術で実現することを目指した。選手が最高のパフォーマンスを発揮できるウエアを考慮すると、デザインにおいては非常に制限が多くなる。でも、ファッション性においても妥協したくはなかった。制限下で創造性を豊かにし、フランスを象徴するウエアを作れるよう取り組んでいる。またとない大きな挑戦なので、スポーツ選手の勇姿を励みにし、私も自分自身の限界を超えていきたい」と話した。