ファッション

「ハルノブムラタ」の日常に映える儚いエレガンス “高嶺の花”の美しさを求めて

 村田晴信デザイナーが手掛ける「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」は14日、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」に参加し、2023-24年秋冬コレクションを披露した。舞台はグランドプリンスホテル高輪 貴賓館。17~18世紀初頭の様式の建築で、現在は結婚式の会場として使用されている元邸宅だ。優雅な館内に椅子を並べたショーは、かつてパリのラグジュアリーブランドが顧客に向けて行ってきたサロンショーのような雰囲気が漂う。

感動するような美しさと儚さを
日常的なファッションとして提案

 今季の着想源は、アメリカの写真家であり映画監督のジェリー・シャッツバーグ(Jerry Schatzberg)が1954~69年の女性たちの姿をドラマチックに切り取った写真集「WOMEN THEN」。村田デザイナーはその女性たちのふるまい間に魅了され、古き良き時代のエレガンスを現代流に再解釈した。村田デザイナーは「高嶺の花のような女性たちの、感動するほどの美しさと儚さを表現したかった。それを非日常的なコスチュームではなく、現実的なファッションとして提案している」と話す。

光が美しく差し込む
スワロフスキーのフリンジストール

 白黒写真から始まる写真集「WOMEN THEN」にならい、ショーはモノトーンのルックからスタートした。キーアイテムは、スワロフスキーで作ったフリンジストールやネックレス、ピアスなどのジュエリー。光が美しく差し込むシャッツバーグの作品にヒントを得て、オールブラックのコートやドレスに一筋の光が差すように合わせている。

 ドレープが美しいケープ付きのドレスやペプラムが膨らんだロングドレスをはじめ、ウエスト部分をカットアウトしたジャンプスーツなど、ブランドが強みにする立体裁断を生かしたアイテムもラインアップ。

 一見カジュアルな印象のあるダウンジャケットは、シルクオーガンジーのジャカードで仕立てられていたり、起毛したケープはシルクを毛羽立たせてカシミヤのようなタッチにしていたりと、上質な素材を独自の視点でアレンジしているもの特徴的だ。

 キャップのようにも被れるフェルトハットや、アイコニックな丸ボタンをあしらったストラップ付きウォレットなど、新作の小物も充実していた。

日常にハッとする美しさを感じさせる
「ハルノブムラタ」の世界観

 イタリアのファッションブランドで経験を積み、日本から王道のエレガンスに挑んでいる 「ハルノブムラタ」。昨年は「東京ファッションアワード」の受賞ブランドとして初のショーを行ったが、今季はよりブランドの世界観を作り込むために2度目のショー開催を決めたという。「シーズンごとにアイテムのクオリティーを向上させていくだけでなく、会場の雰囲気や音楽を合わせてコレクションを作っていくことで、ブランドらしさがさらに固まっていく。今季はこれまでのミニマルでクリーンという印象から一歩前に進めたと思う」と村田デザイナー。世界観をさらに凝縮し、前進させたショーからは、日常にハッとする美しさが感じられた。

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