大月壮士デザイナーによる「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」が、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」で2023-24年秋冬コレクションを披露した。
7年ぶり2度目の東コレ
デビューと同じテーマに挑む
大月デザイナーは1990年生まれ。文化服装学院メンズウェア学科卒業後、2015年に同ブランドを立ち上げた。日本人の精神性とテーラーのテクニックを駆使したメンズウエアを作る。16-17秋冬シーズンには、東コレで「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」「ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)」らとともに、合同ショー“東京ニューエイジ”でコレクションを披露。16年にはLVMHプライズのショートリストにノミネートされ、19年には東京新人デザイナーファッション大賞を受賞した。
今シーズンのテーマは、2013年の学生時代に制作した“FINAL HOMME”。大月デザイナーは「当時はまだ消化不良だったから、もう一度やりたくて」と語る。7年ぶりに東コレに参加し、ショーを決意したのは「(デザインの)筆が進んだから」だという。
会場は東京・麹町のTOKYO FMホール。ずらりと並んだ赤い椅子と中央にかかった大型ライトが独特な雰囲気を醸していた。ライトがゆっくりと降下し、暗がりの中で警報のような音が響くと、会場が明転してショーが開幕した。
緊張感漂う日本のモチーフで
西洋のテーラードをアレンジ
ファーストルックからブランドの世界観が凝縮されていた。ブラックスーツに白い手袋、数珠のアクセサリー、ブランドロゴを家紋のようにあしらったネクタイを合わせたスタイルは、喪服を彷彿とさせる。同時に、裏地を拡張した襟のデザインやカットアウトしたカマーバンド付きパンツとのレイヤードなど、絶妙な足し算でファッションの表現に落とし込んだ。その後も白と黒をベースカラーにしながら、シャツを白装束のような前立てにアレンジしたり、レザーバッグを日本軍の水筒入れに着想したり、コートにしめ縄のようなトグルをつけたりと、日本の歴史や宗教、思想を感じさせるディテールとアクセサリー使いで、西洋由来のテーラードを無二のスタイルに変えていく。重さを感じる黒のサテン、粗野な風合いのファーアイテムなど、迫力のある素材も目立った。
中盤には、ダウンのオーバーコートやフィールドジャケットなどのテクニカルなウエアも差し込んだ。また、奥田浩太による「コウタ オクダ(KOTA OKUDA)」とコラボとした、1ドル札と旧百円札をモチーフにしたニットやバッグも登場した。
フィナーレでは、ハイテンポなBGMとともに、モデルたちが鋭い目つきで足早にランウエイを歩いた。大月デザイナーが10年間突き詰めてきたクリエイションを一度で体験するようなショーだった。