渋谷ファッションウイーク実行員会は19日、渋谷ヒカリエで“渋谷ランウェイ(SHIBUYA RUNWAY)”を行った。ショーは、スタイリスト/ファッションディレクターの山口壮大と山口率いる文化服装学院の学生有志グループ「カルチュラルラボ(CULTURAL LAB.)」が行った。
ショーは文化服装学院の設立100周年と日本の服飾史、AIを駆使したAI服が無数に現れる映像の3つをオーバラップ。ショーピースをまとったモデルは、会場の壁面に投影された、約1万のアーカイブからAIが自動生成した衣装とモデルが闊歩する映像と一緒に並走し、過去と現在、未来を複雑に行き来した。
28体のショーピースは同学院の保有するアーカイブピースを軸に構成。学生がアーカイブピースからインスピレーションを受けて独自にデザイン・制作したもの、アーカイブピースを学生がリメイクしたもの、アーカイブそのものをミックスした。ファッション流通高度専門士科4年の三浦萌絵さんは、「ピンクハウス」の80年代のブルゾンとワンピースをリメイク。透明なビニールをチュールのように重ね、中にいくつもの生花を散りばめることで、変わらない複雑な乙女心を今風にアレンジした。「もともとガーリーな服が大好きで、ある展覧会で『ピンクハウス』のこのブルゾンを見たときにあまりの可愛さに即決した」という。
ファーストルックは1920年代の和服からスタートし、1960年代に水野正夫、70年代に「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」「カンサイ ヤマモト(KANSAI YAMAMOTO)」「ケンゾー(KENZO)」、80年代に「ヨウジヤマモト」「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「ピンクハウス」、90年代以降は「20471120(ツーオ―フォーセブンワンワンツーオー)」「ヨシキヒシヌマ(YOSHIKI HISHINUMA)」「アンダーカバー(UNDERCOVER)」を思わせるコレクションピースが登場した。ただ、若干残念だったのは、もともとのアーカイブが強すぎたこと。アーカイブピースを使わなかった最終盤に登場した「未来編」では、ウエットスーツの上に発泡プリントを施した「トカゲ人間」や、メッシュ企業であるアサダメッシュから提供を受けた金属織物を頭からすっぽりとかぶった「新しい神」など、アーカイブピースを使わず、若者らしいファニーでフレッシュな表現を爆発させた。
「カルチュラルラボ」は2018年にスタート。文化服装学院の後押しを受けた学生主体の産学連携プロジェクトになっており、昨年10月の渋谷ファッションウイークでもショーを担当したほか、、昨年5月のダイバーシティを掲げたファッションイベント「「True Colors FASHION 身体の多様性を未来に放つ ダイバーシティ・ファッションショー」にも参加した。学科横断でコレクションピースのデザイン・制作を行い、全体の進行管理も担った。