「アディダス(ADIDAS)」は、ランニングシューズ“ウルトラブースト(ULTRABOOST)”の新作“ウルトラブースト ライト(ULTRABOOST LIGHT)”を発売した。価格は2万5300円(税込、以下同)。コロナを機に健康意識が高まり、世界中でランナーが増加傾向にある中で、トップランナーからビギナー、ファンランナーまで、幅広いユーザーに快適な履き心地と高い機能性を提供する。ここでは、同作の開発背景やランニングカテゴリーのキーパーソンの声、充実するその他のパフォーマンスシューズを紹介する。
より軽く、高反発になった
“ブースト”フォーム
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“ウルトラブースト ライト”最大の特徴は、その軽さだ。シリーズ名にもある“ブースト”とは、ミッドソールに使用する、ポリエチレンビーズに微細な気泡を閉じ込めて固めた独自素材“ブーストフォーム”のこと。同作では、従来の“ブーストフォーム”よりも30%軽量化し、エネルギーリターンを4%向上させた“ライト ブースト”を採用した。より軽く、高い反発性を体感できる。アッパーは、通気性と履き心地に優れた“プライムニット”素材で、着地時に負荷がかかる指周りにはプレス加工を施して足のブレを最小限に抑える。さらにソールには、レース用の自転車などにも使われる“コンチネンタルラバー”を使っており、ロードからトラック、雨天まで、さまざまなコンディションの路面でグリップ力を発揮。重量は片足299グラムで、スロージョグやトレーニングといった毎日のランからハーフマラソンまで対応する。
「アイコンシューズを
どう進化させるか。
これが最大のミッションだった」
「アディダス」は10年前、“ブーストフォーム”を使用した初のシューズ“エナジー ブースト(ENERGY BOOST)”を発売して以来、パフォーマンスからライフスタイルまでさまざまなプロダクトに同素材を使ってきた。中でも“ウルトラブースト”は、パフォーマンスランニングのアイコンシューズとして、健康のために走る人、仲間とともにランを楽しむ人、レース前のトレーニングで使う人などに広く支持されている。
同シリーズのカテゴリー・ディレクターを務めるサイモン・ロケット(SIMON LOCKETT)は、「“ブーストフォーム”の象徴として支持される“ウルトラブースト”を、いかに予想を上回る新作にアップデートするか。それが大きな挑戦だった」と振り返る。今回発表した“ウルトラブースト ライト”は、“ウルトラブースト 21”を2年前にリリースした際に、すでにプロトタイプを3つ作っていた。「最終的に10のプロトタイプを作成した。そこから、つま先の角度やヒールクリップの大きさ、ベストなフォームの量など、アスリートの効果測定や力学的検証も踏まえて、一つのモデルに絞り込んだ」。デザインもこだわり抜き、メインカラーは白と黒を貴重としたシンプルな配色に、“ソーラーレッド”と名付けたエネルギッシュな赤をアクセントにした。「シューズはランナーにとって唯一のギアで、モチベーションに直結する。色から受ける印象を研究し、アイコンとして支持されるキャッチーなカラーを目指した」と説明する。さらにアッパーには、海洋性廃棄物をリサイクルした”パーレイ・オーシャン・プラスチック”を50%以上使用し、製造過程のCO2排出量も10%削減。「デザイン、機能、環境配慮を高次元に体現したシューズを、1人でも多くのランナーに試してもらいたい」。
世界トップレースで
新記録が続出
“パフォーマンスファースト”を
貫く理由
「スポーツメーカーにとって、パフォーマンスカテゴリーは常に最優先事項だ」と語るのは、ランニング部門を率いるアルベルト・マンガネリ(ALBERTO MANGANELLI)アディダス ランニング ジェネラル・マネージャーだ。「少数精鋭のトップアスリートのための技術革新は、その他大勢のエンドユーザーのプロダクトには結びついていないように見えるかもしれない。しかし、トップに向けた技術とノウハウは、用途やユーザーのレベルに合わせてアレンジされ、エリートからファンプレーヤーまで、さまざまなプロダクトに還元される。“パフォーマンスファースト”の姿勢が、あらゆるクリエイティビティーの根源になる」。
その一例が“アディゼロ”シリーズだ。2005年に誕生して以来、“速くなるための、すべて”を掲げてスピードモデルを作り続けており、21年は同シリーズをはいたランナーが世界トップ5のマラソンレースで男女合わせて9の新記録を打ち出し、世界50のトップマラソンでも54%が“アディゼロ”着用者だった。一方で、フルマラソン完走を目指すビギナーに向けたモデルまで、機能の異なるモデルをラインアップしており、プロダクト開発の裾野が広い。「フットボール、バスケットボール、フィットネスとあらゆるスポーツをカバーする中でも、ランニングは全てのスポーツの基礎で、誰もが注目する大きなカテゴリーだ。ここでプロダクトを充実できることは、他のカテゴリーの底上げにも直結している」。