日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)は、3月13日~18日に2023-24年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」を開催した。全58ブランドの7割にあたる43ブランドがフィジカルショーを行った。
「WWDJAPAN」映像チームは編集部が注目した7ブランドのランウエイショーを撮影し、ショー終わりのデザイナーへインタビューを行った。
「ハルノブムラタ (HARUNOBUMURATA)」
「ハルノブムラタ」は2023-24年秋冬コレクションをグランドプリンスホテル高輪 貴賓館で披露した。今季の着想源は、アメリカの写真家であり映画監督のジェリー・シャッツバーグ(Jerry Schatzberg)が1954~69年の女性たちの姿をドラマチックに切り取った写真集「WOMEN THEN」だ。
「ハルノブムラタ」はイタリアブランドで経験を積んだ村田晴信が2019-20年秋冬にスタート。「日本発のラグジュアリーブランドの確立」をミッションとして掲げる。イタリアと日本の上質な素材を用い、「美とエレガンスを愛する世界中の人々に対し、クリエイションとの出会いを通じて特別な感動を提供すること」を目指す。
「コッキ(KHOKI)」
「コッキ」は東京都とJFWOが共催するファッションコンペ「東京ファッションアワード(TOKYO FASHION AWARD)」受賞による支援を受けて、ブランド初のランウエイショーを実施した。ショー会場は、高い天井に大きなカーテンを架けて、子どもの寝室のようにファンタジーな空間を作った。パッチワークキルトやニットなどの温かみのあるアイテムを軸にしながら、奇抜なヘッドピースでおとぎ話のような世界へと誘った。
来場していたファッションキュレーターの小木“Poggy”基史は「ルック一体一体からオーラを感じ、会場に訪れた人々の五感を研ぎすまさせ、魂に訴えかけるような素晴らしいショーだった。クリエイティブよりも、誰が会場に訪れたかのような情報合戦の方が重要視され、残念ながらコマーシャル化されてしまっているランウエイに、一筋の希望を投げかける20代のデザイナー達が現れた衝撃的な瞬間だった」と語った。
「コッキ」はコレクションブランドで経験を積んだ匿名のメンバーが2019年にスタート。“人の手が見えるモノづくり”をコンセプトに掲げ、多種多様な文化や伝統的技法を織り混ぜ、どこかほっとする雰囲気を大切にする。
「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」
「ヴィヴィアーノ」はファッションコンペ「東京ファッションアワード」を受賞し、約6年ぶりのランウエイショーを披露した。今季は“Aspects of Love”をテーマに、コレクションを通して愛の形を表現。ピンクのランウエイには、ピンクとレッドの2色のチュールをミックスしたドレスや、ハート型のキルティングコートなどが登場した。
2016年にデザイナーの名を冠した「ヴィヴィアーノ・スー」でスタート。20-21年秋冬からブランド名を変更した。 花々の色彩やシェイプからインスピレーションを受けたアイテムを提案する。
「ヨーク(YOKE)」
「ヨーク」は2023-24年秋冬コレクションを国際フォーラムで発表した。今回が最後の東コレという覚悟でショーに挑んだ今季のテーマは“滑走路”。抽象画家ベン・ニコルソン(Ben Nicholson)の作品に着想し、“重ねる”要素を随所に盛り込んだ。
「ヨーク」は "つなぐ" をコンセプトに18-19年秋冬にスタート。ブランド名は“繋ぐ”“絆”“洋服の切り替え布”などの意味。素材やパターンにこだわり、スタンダードなアイテムにコンテンポラリーな要素を加えたアイテムを提案する。
「フェティコ(FETICO)」
「フェティコ(FETICO)」の2023-24年秋冬コレクションは“Unique Beauty”がテーマ。正統派の美しさではなく“個性派”と呼ばれる映画「キャバレー」主演のライザ・ミネリ(Liza Minnelli)や、俳優のヘレナ・ボナム・カーター(Helena Bonham Carter)らにインスピレーションを得た。
「フェティコ」は“The Figure feminine(その姿、女性的)”をコンセプトに、20年に始動。ボディコンシャスや肌見せといったフェティッシュな要素を、洗練されたスタイルで提案する。
「シュタイン(STEIN)」
「シュタイン」は2023-24年秋冬コレクションを東京・青海のテレコムセンタービルで発表した。リアルショーを披露するのは今回が初。今季のテーマは“further(付加する)”で、制作の際に一点一点をまず「やりすぎ」なほどに過剰にデザインする。それを少しずつそぎ落としてリアルクローズに近づけながら、とがったエッセンスを残した。
「シュタイン」は16-17年秋冬シーズンにパンツ3型からスタート。ブランド名は、アインシュタインやヴィトゲンシュタインといったドイツ系ユダヤ人の名前の接頭辞を省いたもので、“未完成”という意味を込めた。ミニマルで静ひつなムードが特徴だ。
「タナカ(TANAKA)」
「タナカ」は2023-24年秋冬コレクションを初のランウエイショー形式で発表した。会場はブランドの拠点であるニューヨークの街をイメージし、碁盤の目になるように客席を配置。タナカサヨリデザイナーの「デニムをキャンバスとして捉える」というアイデアで、ペイントや染め、箔押し、刺しゅうなど、あらゆる技法によってデニムのアイテムをアレンジした。
「タナカ」はニューヨークを拠点に、17年にブランド始動。“これまでの100年とこれからの100年を紡ぐ衣服”をコンセプトに、時代や性別を超えて永く愛される衣服を製作する。日本製のデニムを強みにしたアイテムをそろえる。