ファッション

「ボッテガ・ヴェネタ」のクリエイティブ・ディレクターが大切にするパレードと3Dの魅力を語る

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 「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるマチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)は、2022-23年秋冬シーズンのデビューから3回続けて、バイヤーやメディアから高い評価を受け、同ブランドのさらなる躍進の原動力となっている。23-24年秋冬シーズンは、デビューシーズンからの3部作「イタリア」の最終章として、パレードにインスピレーションを得たコレクションを発表した。最新コレクションとともに、クリエイティブ・ディレクターに就任してからの2年半を振り返ってもらった。

マチュー・ブレイジー/ボッテガ・ヴェネタ クリエイティブ・ディレクター

マチュー・ブレイジー:1984年、パリ生まれ。ベルギー・ブリュッセルにあるファッションスクール、ラ・カンブルを卒業後、「ラフ・シモンズ」のメンズデザイナーとしてキャリアをスタート。その後、「メゾン マルジェラ」を経て、フィービー・ファイロ時代の「セリーヌ」のデザインチームに。2014年にはシニアデザイナーに昇格した。16年からは、当時ラフ・シモンズがチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任した「カルバン・クライン」でデザイン・ディレクターを務め、「ボッテガ・ヴェネタ」に加入。デザイン・ディレクターを経て、21年から現職

WWDJAPAN(以下、WWD):2023-24年秋冬は、「パレード」をテーマにコレクションを組み立てた。そもそも、パレードとは?そして、パレードがどう魅力的だったのか?

マチュー・ブレイジー「ボッテガ・ヴェネタ」クリエイティブ・ディレクター(以下、マチュー):お祭りの行進のように、さまざまな人が同じ時間と空間に集い、なんとなく皆陽気で浮かれながら、例えば「ゴールに向かう」という1つの目標に向かって一致団結するムードが「ボッテガ・ヴェネタ」らしいと思った。

WWD:その、何が「ボッテガ・ヴェネタ」らしいのか?

マチュー:「ボッテガ・ヴェネタ」は、1人のデザイナーではなく、複数の職人によって成り立っている。個性は大事だが、重要なのは僕の個性ではなく、僕を含む皆の個性だ。現職に就任して真っ先に取り組んだのは、全ての職人に直接会って、話をすること。そこから「ボッテガ・ヴェネタ」はたった1人の創業デザイナーこそ全ての「ブランド」ではなく、携わる全員が等しく大事という考えを共有する「ファクトリー」という骨子を定め、今に至っている。「ボッテガ・ヴェネタ」のクリエイションは、すべてが美しいリレーションを基にして成り立っている。例えばファーストシーズンから打ち出し続けている、ジーンズやタンクトップ、ピンストライプのシャツをプリントするレザーウエアは、最適な皮革を探して、時には自分たちでプリンターなどの機械を一部作って、テストして、検証して、テクニックを磨いてというリレーションを繰り返す。皆が「今、一番ベストなソリューションはなんだろう?」と考え続けている。問題を解決するのが、発起人とは限らない。そして、この一連のクリエイションは、とっても楽しい。さまざまな人が同じ空間に集い何かを祝う、パレードのようだろう?

WWD:つまり、今シーズンは「パレード」に集う、さまざまな人たちの、多種多様なスタイルを描いた?

マチュー:その通り。コレクションを考えるときは、イタリアの街に赴き、いろんな人を観察している。イタリアンブランドに携わって改めて気づいたのは、イタリア人が楽しんでいるのは「ファッション」ではなく「スタイル」ということ。例えば街のおじさんが着ているジャケットは、新しい洋服ではなく、家族から譲り受けたものかもしれない。でも、最初は一張羅として大切に着て、次第にデニムやフーディーと合わせるようになって、年を重ねてからはまたシャツに戻って、気づいたら同じ洋服をずっと自分らしく楽しんでいる。それこそ、「ボッテガ・ヴェネタ」が提案すべき「スタイル」だ。他の国の人と違って、イタリア人は、ずっとジャケットを着ているかもしれない。会社に行かなくても、ジャケットを羽織っている人は多いだろう。だからこの国では、ジャケットはストリートウエア。決して色あせない、いつまでも魅力的な存在だ。

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