ゴールドウインと葉山町(神奈川県)、京急グループの葉山マリーナーは29日、連携と協力に関する包括協定を締結した。海や山林などの自然環境に親しみ、守り育てることの大切さの理解推進に向けて、3者の資源を有効活用することで、町民生活の質の向上および地域活性化を図る。
連携項目には「1.海の生物等に親しむ事業の推進に関すること」「2.里山管理や山の動植物等に親しむ事業の推進に関すること」「3.町内の自然環境の保全活動事業の推進に関すること」「4.その他本協定の目的の達成のために必要と認められること」を掲げる。
第1弾の具体的な取り組みとして、5月20日に「稚魚放流・クルージング体験」を葉山町内の小学校高学年を対象に実施する。町の資源である豊かな自然環境を、次世代を担う子どもたちに知ってもらうきっかけの場とする。漁業協同組合の協力で水産資源の大切さを学び、葉山マリーナーの協力で乗船や海から町を眺める体験を提供する。さらにゴールドウインの「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」と葉山マリーナが共同運用する海洋浮遊ごみ回収機“シービン(SEABIN)”を通じて、海の環境問題を学ぶ。
今後は、海の生物に親しむ潮干狩り活動や、里山管理を目的としたタケノコ掘り活動、ゼロ・ウェイストを目標にした“はやまクリーンプログラム”といった、葉山町が推進してきた自然環境事業を軸に、継続的な連携を図る方針だ。
29日に行われた会見でゴールドウインの渡辺貴生社長は、「当社はさまざまなスポーツアパレルブランドを通じて、スポーツの楽しさを広げる活動をしてきた。葉山町は、山と海が隣接する素晴らしい自然環境が整っており、『葉山マリーナ』とは1983年の『ヘリーハンセン』の日本導入時から40年の付き合いがある。この環境を素晴らしいものにしていけるよう共に取り組み、我々のノウハウや経験、製品を通じて、海や山での楽しみ方をサポートできたらうれしい」と話した。
また「モノを作るアパレル産業は、環境に大きなインパクトを与えている。シービンを含め、ローインパクトになるような産業のあり方、新素材の開発・回収、新たな製品に生まれ変わらせる取り組みにも引き続き注力していく」と話した。
ゴールドウインはアウトドア事業での知見を生かし、自治体との連携を深めている。葉山町以外にも、富士箱根伊豆国立公園の箱根町(神奈川県)、南アルプス国立公園のふもとの北杜市(山梨県)、知床国立公園のある斜里町(北海道)とそれぞれ協定を結び、エリアの環境に応じた取り組みを進めている。
「葉山マリーナ」には、13年に「ヘリーハンセン」、22年4月に「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」が出店。昨年11月からシービンを設置し、共同運用している。