タレントのIMALUと、フェムケアグッズ専門店「ラブピースクラブ(LOVE PIECE CLUB)」を運営する北原みのりアジュマ代表は、FM FUJIで新番組「バイエルンから愛を込めて〜わたしたちの眠れない夜に〜」を4月2日にスタートする。ドイツ・バイエルン発のセルフプレジャーグッズブランド「ウーマナイザー(WOMANIZER)」が番組スポンサーとなり、「ドイツから多くの女性に健康と幸せを届けたい」という思いを込めて名付けた。放送は毎週日曜日夜7時30分から8時。
同番組ではIMALUがホストを務め、さまざまな分野のプロフェッショナルを招いた性教育コンテンツを発信していく。なぜ2人が今性教育に目を向けるのか、話を聞いた。
WWD:2人の出会いは?
IMALU:去年の9月です。2020年に私が「ハダカベヤ」というポッドキャストで体や性の悩みについて語る番組を始めたことがきっかけで、いろんな出会いが広がって知人を通して紹介してもらいました。
北原みのりアジュマ代表(以下、北原):もともとIMALUさんの等身大の発信がすごく好きだったんです。もっとIMALUさんの言葉が広がるといいなと思っていたところに、今回のスポンサーであるウーマナイザーが手を上げてくれてこの企画が実現しました。
WWD:北原さんから見てIMALUさんの発信の魅力は?
北原:どんなことにも偏見を持たずに意見できる姿勢に驚きました。今もクリトリスの形のピアスを付けていらっしゃいますが、これをご紹介したときに「クリトリスっておしゃれですよね」とおっしゃっていました。なかなかそういうことを言える人っていないよなって。
IMALU:ちょっとおしゃれじゃないですか(笑)。オランダのプレジャーグッズブランド「バード(BIIRD.)」のアクセサリーで、みのりさんに紹介してもらいました。この時クリトリスがこんな形をしていることを知りました。発信してくれる先輩がいるからこそ出合えたブランドです。
北原:過激なものやユニークなものではなくて、自分の体のおしゃれな部分というふうに転換してくれて、私自身もハッとさせられました。こういうIMALUさんの言葉をもっと聞きたい。ラジオは一番言葉が届く世界だと思うので。「クリトリスはおしゃれ」は番組の裏テーマですね(笑)。
WWD:フェムテックの広がりもあり女性が自分の体について話すことへのハードルは下がってきたように感じます。IMALUさんはポッドキャスト「ハダカベヤ」やファッション誌などでも積極的に発信を続けていますが、語ることに抵抗はありませんでしたか?
IMALU:私はもともと自分の体や性教育について全然知らず、みんなで語す場所を作りたいと思いポッドキャストを始めました。というのも、30代になった翌日からいきなり周りから「いつ結婚するの?」「子どもは欲しいの?」と質問されるようになって。最初はすごくプレッシャーを感じて、今は欲しくないけど考えたほうがいいのかな、でも産婦人科もちゃんと通ったことないしな、といろいろ考えていくうちに自分の無知に気付いたんです。始めてみてリスナーからの反応がとても濃くて驚きました。私と同じように知らない人もたくさんいて、共感してくれたり、「私はこうだった」と話したりしてくれます。その延長でみのりさんをはじめ今まで発信してきた女性たちとの縁が広がったので怖さや抵抗はなく、優しい反応が多かったです。
美容ツールとして広がるフェムテック、一方で命に関わる情報が足りていない
WWD:IMALUさんとフェムテックの出合いは?
IMALU:私は吸水ショーツに本当に救われたんです。人生変わったと言っても大げさじゃないくらい。ロケ先では、いつトイレにいけるか分からないし、行けたとしても、どんなトイレかが分からず不安でした。人の家でロケの場合は、ナプキンを捨てる場所がなくて困ったり。吸水ショーツで、その日のストレスが一気に無くなりました。でもそもそもそれがストレスだったことも気付かなかったんですよ。
北原:やっぱり今まで我慢することがあまりにも多くて、ちょっとぐらい不快でも生理なんだから当たり前、プレジャーグッズに関しても、女なんだから別にそんなに気持ち良くならなくたっていいとか、本当は100いけるのに、6ぐらいでこんなもんでいいと思っている人が多い。ご飯やファッションのように、もっと新しい体験やベストなものを求めていいんです。だから「ラブピースクラブ」でもいろんな所にニーズに気付くポイントを仕掛けるように心がけています。
WWD:この番組もその気付くきっかけの一つになると。女性誌でもフェムテック特集が組まれたりするようになりましたが、まだまだ情報が足りていないと感じますか?
北原:情報過多な部分と足りてないところのバランスが悪いと思っています。過多なのは、膣の中をきれいにしましょうといった美容的なところ。こんなにケアしなくてはいけないのかなとプレッシャーを感じるぐらいあるけれども、避妊の話やピルの種類については、どのぐらい知っているのでしょうか。実は命や健康に関わることに関しては、知識や教育が足りていない。
WWD:だからこの番組では、性教育をテーマに掲げているわけですね。具体的にはどんなコンテンツを予定していますか?
北原:ちょうど2回収録を終えたところで、1回目は「ウーマナイザー」からセクソロジスト(性科学者)をお招きし、ドイツの性教育事情や避妊の話などをしてもらいます。2回目は「コンドームで防げる性感染症」について。毎回テーマを変えていきますが日曜の夜なので、IMALUさんの明るい雰囲気でいろんな人の気持ちが引き出されるような番組にしていきたいです。「眠れない夜が訪れないように」の思いを込めてタイトルにしましたが、みんなが語り出して逆に眠れなくなってしまうかも(笑)。でも性にまつわる話題は、みんなが複雑な気持ちや経験をしてきているから、みんな語ることがある。にもかかわらず語れてこなかったことに気付いてほしい。
IMALU:リスナーとはどんどんコミュニケーションをとって、みんなの思いを共有できるような番組にしたいです。特に私と同世代の人たちやもっと若い人たちにもいろんな選択があっていいと伝えたいし、私も一緒に勉強していきたい。家族でもぜひ聴いてもらいたいです。
語ることで生きづらさが解決するきっかけに
WWD:日本の性教育の問題点はどういうところにあると思いますか?
北原:まず、性教育を受けてないことです。
IMALU:そうですね。以前アンケートで「性教育受けたことがありますか?」と聞いたときに、「ある」と回答した人は多かったですが、ドイツの性教育の中身を聞くとあまりにも質が違っていて驚きました。たとえば避妊の方法もかなり具体的に、種類や体への負担などを解説して、避妊方法を子どもに議論させたりしている。すごいなと思いました。この番組でもいろんな角度から楽しく性教育を学ぶことを目指します。
北原:女性にとって生はまだまだ生きやすい社会ではないと思います。でもそれぞれの生きづらさを口にすると、何か解決が出てくるかもしれない。IMALUさんの言葉を通して何かが変わっていってほしいと願っています。