「ファッションセンターしまむら」や「アベイル」を運営するしまむらは、2022年4月に続き、2023年4月にも賃上げを行う。対象者は昨年と同様、正社員(約3000人)とパート社員(約1万5000人)。正社員の賃上げ幅は6.5%(昨年は5.6%)、パート社員は5.2%(同4.6%)。併せて新入社員の初任給も上げており、23年4月入社の大卒正社員の月給は昨年から1万7600円高い27万3000円となった。
「賃上げは優秀な人材を採用するためでもあるが、社員満足を高めることが大きな目的」と鈴木誠社長は4月3日に行われた23年2月期決算会見でコメント。昨年の賃上げや期末に決算賞与を出したことで、23年2月期は人件費が前期比5.8%増に膨らんだ。ただし「タブレット端末の導入による店頭の働き方の効率化などが効き、人件費の売上高対比は12.8%と、前期から0.1ポイントのみの上昇に抑えることができた」(太田誠利企画室長)という。
23年2月期の連結業績は、売上高が同5.6%増の6161億円、営業利益が同7.9%増の533億円となり、共に過去最高を更新した。話題性のあるインフルエンサー企画やキャラクター商品の連打、地域・個店別に対応したMD、ウェブ広告に注力したマーケティングなどが効き、既存店1店あたりの売上高は主力の「しまむら」業態で平均3.2億円に上昇した。
22年度はアパレル業界全般として値上げにも大きく焦点が当たった。「しまむら」でもプライベートブランド「クロッシー プレミアム(CLOSSHI PREMIUM)」を拡充し、従来よりも機能性や品質を高めた高価格帯商品を増やした結果、「1点単価は通期で同3.9%増となったが、客数も同1.3%増となり、客離れは起こっていない」(鈴木社長)と手応えを語る。22年9月〜23年2月の下期に絞ると「しまむら」の1点単価は前年同期と比べ6.5%の価格上昇となっている。「この3〜8月も同様の価格上昇が継続する」。
24年2月期業績は売上高が前期比3.1%増の6350億円、営業利益が同2.4%増の545億円を見込む。併せて30年2月期に向けた長期の経営目標も発表、売上高8000億円超、営業利益率10.0%を目指す。「今期以降、毎年50店の新規出店を重ねると共に、既存店の大型化やファッションモール化(複数業態を組み合わせての大型出店)を進めることで、1店あたりの売り上げを高めていく」ことが売上高8000億円の骨子となる。