「WWDJAPAN」は4月3日号で、ファッション&ビューティ業界の新入社員や若手社員に向けて、「プロになろうーー知っておくべき業界の今」と題した特集を掲載している。それと連動し「WWDJAPAN.com」では、業界で活躍するアラフォー世代以下のリーダーたちに、自身が若手だったころに心掛けていたことや、それが今にどうつながっているかを取材。今回は、イタリア発ランジェリー「インティミッシミ(INTIMISSIMI)」やレッグウエアの「カルツェドニア(CALZEDONIA)」、ニットウエア「ファルコネーリ(FALCONERI)」などを展開するカルツェドニア ジャパンのPR&マーケティング スペシャリスト、笹岡ひかる子さんが登場。入社5年目という比較的新入社員に近い立場から、自身の新入社員時代を振り返ってもらった。
WWD:新入社員時代、どのように働いていたか?
笹岡ひかる子カルツェドニア ジャパン PR&マーケティング スペシャリスト(以下、笹岡):カルツェドニア ジャパンにはアルバイトで入って正社員になりました。経理でキャリアをスタートし、販売部門で「カルツェドニア」の店舗スタッフのマネジメントをするディストリクトマネジャー(以下DM)に。渋谷店、新宿店、池袋店、六本木店、名古屋店の5店舗を管轄していて、毎週名古屋に出張していた時期もあります。私は新卒で、店舗には年上の店長やスタッフがいたので、経験がないのに高圧的にならないよう、とはいえ甘く見られないように仕事をしていました。仕事のマネジメントはもちろんですが、スタッフの悩みごとの相談にのったりもしていましたね。スタッフとはLINEでつながっていて、週末も常にLINEをチェックするなど気を張っていました。
WWD:カルツェドニアに入社しようと思った理由は?
笹岡:「ユニクロ(UNIQLO)」のファーストリテイリングや「ザラ(ZARA)」のインディテックスのようなグローバル企業ということで興味を持ちましたが、カルツェドニアはそれらとは違って、日本ではまだこれからという状況。だから一緒に成長できると思いました。本国であるイタリアからのスタッフも多く、日々働く環境もグローバルであることにも魅力を感じました。
WWD:新卒で、いきなり管理職に?
笹岡:私が新卒では初のDMでした。販売スタッフ一人一人の売り上げなどを管理する仕事でしたが、スタッフに「笹岡さんは数字しか見ていない」と言われたこともあります。ある人に、「まずは、人間関係作りから始めないと。数字について話すのは、スタッフに自分の弱みも見せて信頼関係を築いてから」と教えられました。
WWD:新入社員時代に苦労した点は?それをどう乗り越えたか?
笹岡:年下から年上まで経験の異なるスタッフがいたため、人間関係では難しいと思うことも多かったです。私が発する一言がスタッフの悩みにつながることもあるので、言葉使いには気をつけましたね。一人一人のスタッフを束ねることやスタッフのモチベーションをどうキープするかという点に特に苦労しました。コロナで何が正解か分からない状況だったときは、スタッフの配置やモチベーションアップが本当に大変でした。物事の伝え方を変えてみたり、マネジメントやリーダーシップなどの本を読んだり、先輩に相談したりするなどして乗り越えました。
20代は吸収するしかない年代
WWD:新入社員時代のどのような経験が今どのように生きているか?
笹岡:2021年にPR&マーケティングという現在の部署へ異動しましたが、販売部門でDMとして話し方や言葉の選び方について学んだことがコミュニケーションに役立っています。また、部署によって意見が対立することがありますが、(店頭で販売する)営業チームのありがたみを実感してきたことが、社内で同じ方向を見ていくために役に立っています。店舗スタッフには本社の動きが見えにくいので、できるだけ情報を伝えるようにしていて、広告が店舗とどうつながっていくかを店舗スタッフに見せることが大切です。だから今でも、週に一回は店舗に行ってスタッフに声を掛けるようにしています。
WWD:自身のモットーは?
笹岡:まず、ノーと言わないことです。20代は吸収するしかない年代です。とにかく挑戦してみることが大切。
WWD:新入社員に勧めたい“やっておくといいこと”は?
笹岡:パワーポイントやエクセルを使いこなせるようにしておくこと、ビジネスに関連する本を読むことや、他分野の知識を広げることですね。勉強することが大切です。勉強だけしておけばよかった大学時代には、このようなことを思う日が来るとは思いませんでした。また、社内では英語を使うことが多いのですが、(日本の取引先とのやり取りのために)ビジネス日本語を学んでおけばよかったです。
WWD:仕事で嫌なことがあったときのストレス解消法や気持ちの切り替え方は?
笹岡:映画やリアリティーショーを見て泣くとスッキリします。経済書などを読むことで、感情を無に持っていくこともあります。長期的には、旅行に行くことです。国内は温泉や海などの自然のある場所が好きですね。海外はヨーロッパに行くことが多く、町を歩いたり美術館に行ったりします。環境を変えることでかなりリフレッシュしますね。
WWD:新入社員へのエールは?
笹岡:何があっても前を見て、少しでも前進すること、自分を客観視して、謙虚に自分の身の丈に合ったことをすることです。