仏ロレアル(L’OREAL)は4月3日(現地時間)、オーストラリア発のラグジュアリースキンケアブランド「イソップ(AESOP)」を手掛けるイソップ社をブラジルの化粧品会社ナチュラ&コー(NATURA & CO)から買収することに合意したと発表した。取引額は25億ドル(約3250億円)以上とみられる。「イソップ」は、「ランコム(LANCOME)」や「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」「キールズ(KIEHL’S SINCE 1851)」などを擁するロレアルのリュクス事業本部の傘下に入る。
ニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)=ロレアル最高経営責任者(CEO)は声明で、「『イソップ』はアバンギャルドなブランド。並外れたこだわりによって作られる商品は、都会的でオプティミスティック(楽観的)、ラグジュアリーを見事に融合している。ロレアルは『イソップ』のポテンシャル、特に中国とトラベルリテールにおいてその可能性を引き出すことに貢献する」と述べた。
「イソップ」は1987年、オーストラリア・メルボルンで創業。植物由来の成分を使ったビーガン処方のスキンケアやヘアケア、ボディーケア商品を世界中の高級小売店などで展開する。北米や欧州、オーストラリア、ニュージーランド、アジアに約400の販売拠点を構え、昨年には中国に1号店をオープンした。
ナチュラ&コーは2012年12月、「イソップ」の株式65%を約6800万オーストラリアドル(約61億2000万円)で取得。当時の売上高を約6400万オーストラリアドル(約57億6000万円)と見込まれていた。その後ビジネスは拡大し、昨年の売上高は5億3700万ドル(約698億1000万円)を記録した。
「イソップ」の買収について美容業界ではここ数カ月、プライベートファンドなどの名前が有力候補として飛び交い憶測を呼んでいた。サンパウロに本社を置くナチュラ&コーは昨年10月、「イソップ」の米国でのIPO、またはイソップを別会社として切り離す可能性について検討を開始したと発表していた。
ナチュラ&コーのファビオ・バルボサ(Fabio Barbosa)最高経営責任者(CEO)は「イソップ」の売却について、「これにより戦略的優先事項、特にラテンアメリカへの投資に焦点を絞ることができる。また、『ザボディショップ(THE BODY SHOP)』の事業の継続的な改善と『エイボン(AVON)』事業の拡大に注力する」とコメントしている。