ファッション

異色のゴルフウエア「マーク&ロナ」はなぜ急成長したのか 創業者が見つけた“鉱脈”

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 ゴルフ熱が高まる中、最も勢いのある企業の一つが「マーク&ロナ(MARK&LONA)」を運営するキューブ(東京、松村智明社長)だ。木村拓哉をイメージキャラクターに起用する同ブランドは、独自のデザインと世界観によって既存ブランドに満足しない人たちの支持を集める。2022年12月期の売上高は2年前に比べて2倍以上の55億円。昨年10月には東証グロース市場への上場を果たした。創業者でクリエイティブディレクターを兼任する松村社長は“ラグジュアリーゴルフブランド”という新しい分野を構築し、グローバル市場に打って出る。

WWD:キューブの売上高は21年12月期が前期比49.2%増の39億円、22年12月期が同42.5%増の55億円。コロナ下で急成長している。

松村智明社長(以下、松村):私たちとしては需給バランスを考え、着実に積み重ねてきた結果だと捉えている。売り上げ以上に評価しているのが、プロパー消化率が改善していることだ。具体的な数値は公表していないが、アパレル業界の水準から見てかなり高い。シーズンを重ねるごとに在庫はほとんど残らなくなった。大量生産による売り減らしはしないし、売れ筋商品の追加フォローもしていない。「マーク&ロナ」は2008年の立ち上げ当初からブランド価値が毀損しないよう細心の注意を払ってきた。

WWD:確かに営業利益率は21年12月期で17.6%、22年12月期で16.3%と高水準。なぜ高いプロパー消化率を達成できるのか。

松村:過去のデータ分析を通じて精緻な生産計画を組んでいる。高い在庫回転率(22年12月期で10.6回)を実現し、できるだけ値引きをしないことで収益性を高めてきた。ECによるデジタルの情報を駆使する一方で、アナログの声を大切にしている。店舗の販売員と頻繁にヒアリングし、お客さまの商品に対する細かな反応を収集する。当社は海外売上高比率が約4割を占めるため、越境ECや海外店舗のデータも見て判断する。国内の情報だけに頼ると、グローバルでの精度が落ちてしまうので、そこはすごく気をつけている。

 データを重視するといっても、売れた商品を再び作るようなことはしない。基本、同じものは作らない。毎シーズン、お客さまを驚かすようなクリエイティブで勝負してきた。そうでないと、目の肥えたお客さまを満足させることはできない。私がクリエイティブディレクターとして商品だけでなく、ビジュアルや動画、ECなど様々なコンテンツのクオリティに全責任を持つ。動画につける音楽もBTSを手掛けるチームにオリジナルで作ってもらった。隅々までお金と手間暇をかけ、ブランドに魂を込める。

年間500万円分を購入する熱烈なファンも

WWD:ゴルフはコンサバなウエアが多い中、「マーク&ロナ」のドクロのブランドロゴやストリートテイスト、グラフィカルなデザインは異質だ。

松村:確かに「振り切ったデザインですね」と評されることが多い。ゴルフウエアはハレの場面で着るもの。ワンポイントのロゴで売るシンプルな商品は市場にあふれている。私たちはファッション性とクリエイティブで勝負しようと最初から決めていた。

 その甲斐あって、熱烈に支持してくださるお客さまが多い。受注会で年間500万円オーダーする方もいる。当社のエクシクルーシブ会員で年間100万円(税抜)以上を購入する「ゴールド」のロイヤルカスタマーも少なくない。トップスで数万〜十数万円、キャディバッグでも20万円以上になるので、新作をフルセットでコーディネートするとそれなりの金額になる。

WWD:“ラグジュアリーゴルフブランド”という新しいカテゴリーを作ると宣言している。

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