ファッション
連載 私が新入社員だったころ

「ウィゴー」古着事業営業マネジャーが語る、20代で体得した販売の面白さと熱い仲間【私が新入社員だったころ vol.4】

 「WWDJAPAN」は4月3日号で、ファッション&ビューティ業界の新入社員や若手社員に向けて、「プロになろうーー知っておくべき業界の今」と題した特集を企画した。それと連動し「WWDJAPAN.com」では、業界で活躍するアラフォー世代以下のリーダーたちに、自身が若手だったころに心掛けていたことや、それが今の仕事にどうつながっているかを取材。連載第4回はウィゴー(WEGO)で古着事業を担う齋藤純輝サスティナブル事業部営業チームマネジャーに話を聞いた。仕事で熱くなれる仲間を作るためのアドバイスとは?

WWD:20歳でアルバイトを始めて、17年「ウィゴー」一筋だ。そもそも「ウィゴー」に入ったきっかけは?

齋藤:地元の群馬・高崎で友達と遊んでるときに、友達の一人が当時の真っ青なショッパーを持っていました。「それどこのショッパーなん?」て聞いたら、「これ『ウィゴー』っていう古着屋だよ」と教えてもらったのが出合いです。「じゃあ行ってみようかな」と行ってみたら、レジの所にアルバイト募集の告知が貼ってあって。軽い気持ちで応募したのが、きっかけです。

WWD:特にすごく古着が好きだった?

齋藤:古着はもともと好きでしたが、暇だし働いてみようかなくらいの感覚でした。「ウィゴー」は、人が良かったっていうのが一番ですかね。人情味あふれる会社というか、そういうところにずっと引かれています。

WWD: 20代の頃はどんなふうに働いていた?

齋藤:当時もキツイと感じていましたが、今でいえば、いわゆるパワハラだらけでした(笑)。何も分からずに入ったのですが、誰かが何かを教えてくれるという環境じゃないんですよ。例えば、いきなり「チャンスエここに引っ掛けとけ」って言われるんです。「チャンピオン」スエットの略なのですが、知らないですよ。でも「なんで知らないの?」みたいに言われて(苦笑)。

 一番しんどかったのは、週に1度の売れたものをカテゴリー別にランキングにまとめる作業です。当時はまだレジも手書きで、通常の業務時間内では絶対に終わらないんです。だから1週間に1回アルバイト4人で一番先輩の家に集まって、夜から朝近くまで集計するんです。今なら本当に考えられないと思いますが、朝まで「あれ売れてるな」「これ売れてる」みたいなことをひたすらやる。でも、今思い返してみれば、あの経験があってよかったなって思うんです。皆で同じモチベーションが持てますし、団結します。ただこの経験を今のこれからの人たちに継げるかとなると、すごく難しいなとも思います。もちろん、今はそんな働き方をさせたりしていません。

 販売が楽しいと知ったのもこのころです。当時の店長(松浦孝俊デジタルグロース本部コミュニティレーベル部ビジネスデベロップメントチームリーダー)が“売ること大好き人間”で。本当に「売ることが好きだから、俺は」って、ずっと言っていて、それに感化されたんです。売れることは当然、正義だと思うんですけれど、「売れるってどういうことか分かるか」みたいな話になったときに、「売れるってことは、それだけ店がお客さまから支持されてるってことだぞ」って。結局、売れていないということは、人気がないということです。「じゃあ、どうすれば売れるのか」。その考え方は今も変わらないですね。古着の奥深さもオタクな先輩たちから教わったというか、有無を言わさず買わされたりもしましたが、身銭を切りながら学び、ハマっていきました。

店のスタッフが全員退職

WWD:それで2年目に店長に?

齋藤:そうです。路面の桐生店のオープニング店長でした。とはいえ僕も高崎ビブレでのやり方しか知らないので、そのやり方をそっくりそのまま持っていくじゃないですか。そうしたらオープン3カ月くらいで、オープニングスタッフが8人全員辞めたんです。僕が一番年下だったのと、オープニングのために採用した「ウィゴー」歴のないスタッフだったのに、高崎ビブレで自分がされたことを、そのままやってしまったからですね。まぁ、思い返してみればパワハラです(苦笑)。でも、されたことしかできないじゃないですか、20代前半で経験もなかったので。

 400平方メートルくらいの店でしたが、それを2、3人で1カ月休みなしで回すハメになり、古着の扱いも縮小されるし、体調も崩して、本当にしんどかったです。「ここまでして、やっている意味あるかな」って思ったときに、高崎ビブレ時代の店長に連絡したんです。

 そうしたら、「(体調壊して)良かったじゃん」って言われたんです。「これでおまえもようやく一人前だな」って。今だったらありえないセリフです。でも、僕はそのとき、その一言にめっちゃ救われました。そんなふうに言ってもらえたのが、本当にうれしかったんです。それで、「もうちょっと頑張ってみようかな」となりました。あの言葉がなかったら、僕は2年目、3年目くらいで辞めていたと思います。悔しいことに向こうは全然覚えてないんですけど(苦笑)。

WWD:そこからは店長としていいチームが作れるように?

齋藤:20代半ばで下北沢店の店長に異動になりました。初めて東京に移転して、その時一緒に働いたメンバーがすごく好きで。1年半で僕が異動になってしまったのですが、そのときは涙しましたね。当時の副店長も泣いてくれたんですよ。異動はたくさん経験してきましたが、異動で泣いたのはこの時だけでした。

WWD:いい上司や先輩、一緒に働く仲間に恵まれた。近年、「ウィゴー」としても原点である古着事業に注力している。

齋藤:社長の園田(恭輔)が、古着が大好きなんです。それこそ先週もミーティングしましたが、会社全体を見ている人が、古着にこんなに熱くなれるんだ、と刺激を受けます。僕も古着事業をスケールしたくて、社長に直接プレゼンして、今のポジションを任せてもらったので、期待に応えたいという思いもあります。

「仕事で熱くなるのは、仕事外の時間」

WWD:今も働く仲間に恵まれている?

齋藤:今ももちろん人情味ある会社ですね。昨日もちょうど、下北沢のエリアマネジャーと原宿竹下通り店の店長と、下北沢でワン缶(1缶飲み)したんです。そのときに、「今なんでこの会社にいるか」みたいな話になったんです。そうしたら「結局、人情でしかなくない?」みたいな話になって。仕事で熱くなれる仲間や一緒に頑張りたいと思える人がいるのが、一番大きいんですよね。

 仕事に情熱を持っている人って、仕事の時間外でも仕事に関係することをしたり、話をしたりしているんです。というか結局、仕事で熱くなるときって、仕事外のときなんですよ。これは若い人に伝えたいですね。仕事外でのコミュニケーションが、モチベーションを上げるし、仕事を面白くすると思います。

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