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LVMHが数十年ぶりに化粧品事業を束ねるトップを任命した背景とは? 新トップは元ロレアルUSA社長兼CEO

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 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)はこのほど、パフューム & コスメティクス事業部の会長兼最高経営責任者(CEO)にステファン・リンデルクネッシュ(Stephane Rinderknech)前LVMHホスピタリティ・エクセレンス会長兼CEOを任命した。リンデルクネッシュ会長兼CEOはパルファン・クリスチャン・ディオール(PARFUMS CHRISTIAN DIOR)、ゲラン(GUERLAIN)に加え、ケンゾー パルファム(KENZO PARFUMS)やパルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)を束ねるLVMHフレグランス ブランズ(LVMH FRAGRANCE BRANDS)、リアーナ(Rihanna)のメイクアップブランド「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)」、メイクアップアーティストのキャサリン・ヴォン・ドラケンバーグ(Katherine von Drachenberg)が創業した「KVD ビューティ」などを擁するケンドー(KENDO)を含め、15ブランドを率いる。なお、引き続きホテル「シュヴァル・ブラン(Cheval Blanc)」や「ベルモン(Belmond)」などを展開するホスピタリティ・エクセレンス事業の会長兼CEOも務める。

 リンデルクネッシュ会長兼CEOは1973年6月1日、フランス生まれ。パリのISGビジネススクールを卒業後、2002年にロレアル(L'OREAL)のトラベルリテールアメリカ部門でキャリアをスタートした。日本や韓国での職務を経て11年に中国に渡り、その後ロレアル中国の社長兼CEOに就任。中国のビジネスを30%成長させたほか、デジタル変革を推し進め、同市場のEC売り上げを中国全体の40%を占めるまでに拡大させた。デジタル領域の腕を買われ、19年にロレアルUSAの社長兼CEOに昇格し、ここでもデジタル変革を推進。ロレアルのグローバル事業最高経営責任者(CEO)の有力候補としても注目された。その後、22年6月にLVMHに入社し、LVMHホスピタリティ・エクセレンスの会長兼CEOに就任。23年1月からは、LVMH執行委員会のメンバーにも加わった。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)=LVMH会長兼CEOは「リンデルクネッシュ氏はわれわれのホテル事業を戦略的に立て直し、グループ全体の勢いに貢献した。(ビューティ出身の)彼が新しい領域でここまでリーダーシップを発揮したのは彼の素晴らしい柔軟性と適応性を表す。これまで培ってきたビューティのノウハウは、LVMHが誇る多種多様なメゾンに生かされるだろう」と期待を寄せる。

ビューティ事業トップの任命は競合を意識?

 LVMHでは数十年、同社のパフューム & コスメティクス事業を率いる人材が不在だった。最後にビューティ事業を監修していたパトリック・ショエル(Patrick Choel)=パフューム & コスメティクスプレジデントは6年半にわたり同事業をけん引した後、04年3月に同ポジションを退いた。その後同事業部は組織改編し、当時パルファン・クリスチャン・ディオールのマルティネス社長兼CEOはアルノー会長兼CEOが直接、ほかのブランドについてはアントニオ・ベローニ(Antonio Belloni)LVMHグループ マネジング ディレクターが直接管轄した。規模が大きい同事業は近年急速に成長しており、22年の売上高は前年比17%増の77億2000万ユーロ(約1兆36億円)に上った。米「WWD」が毎年発表している世界のビューティ企業の売り上げランキング「WWD Beauty Inc Top 100」では、直近で6位にランクインした。

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