服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場、連結)の2023年1月期決算は売上高が前期比11.2%増の769億円、営業利益は同41.6%増の35億円だった。売上高は、今年から本体のスタイレム瀧定大阪のみに「収益認識に関する会計基準」を適用しているため、参考値。売上総利益率18.0%で、前期に比べ0.2ポイント改善した。
営業利益はこの10年では過去最高。好調の理由について瀧隆太社長は「原料価格の高騰や円安などのネガティブ要因も少なくなかったが、海外に加え、足元の日本のアパレル市場も堅調で、主力の服地事業と製品OEM事業が好調だった」という。中国や米国、イタリア、韓国、インドなどの海外現地法人9社の単純合算は157億円。7割を占める中国が、ロックダウンなどの影響を受けたものの、新規開拓が進み、全体をけん引した。
事業別では日本市場で最大のシェアを持つ服地事業が同15.8%増(参考値、以下同)の483億円だった。酒向正之副社長は「日本のアパレル市場の回復に引っ張られた」。ただ今期(23年1月期)については「当社はテキスタイルをストックして販売する『問屋モデル』であるため、原料高の影響にはタイムラグがある。足元の2・3月の受注も堅調だが、計画生産の増加に伴う受注タイミングのズレなどもあって、市場の先行きが読みにくくなっている。昨年は好調だった北米もインフレが顕在化しており、海外はさらに読みにくい。かなり慎重に見ている」という。
製品事業は同3.3%増の290億円、原料事業は32.6%増の23億円、タオル製品などを扱うライフスタイル製品は7.6%減の33億円だった。原料は、インドの農家と組んで展開するオーガニックコットン「オーガニックフィールド」などのサステナビリティ素材がけん引した。