オンワードホールディングス(HD)の2023年2月期連結業績は、売上高が前期比4.5%増の1760億円、営業損益が52億円の黒字(前期は10億円の赤字)、純利益が同64.3%減の31億円だった。主力の百貨店アパレルが軒並み2ケタ増収と業績を大きくけん引した。最終減益は、不動産売却益など特別利益213億円を計上した前期の反動減。
中核会社オンワード樫山の売上高は前期比10.6%増の1011億円、営業利益が45億円(前期は18億円の赤字)。主力ブランドの既存店売上高は、「23区」が前期比34.8%増、「自由区」が同35.1%増、「ICB」が同31.9%増だった。店舗にEC在庫を引き当てて試着・購入できる「クリック&トライ」の導入が効いている。23年2月期末で導入店舗は全店の約4割に相当する340まで広がった。サービスを介した商品の予約点数は上期(22年3〜8月)は5万5000点、下期(9月〜23年2月)は11万6000点と倍増した。
「クリック&トライ」の
増収効果に継続期待
「クリック&トライ」導入店舗の売上高は、おしなべてコロナ前の20年2月期と同水準まで回復している。保元道宣オンワードHD社長は「(『クリック&トライ』の)お客さまの認知度向上と、店頭スタッフのサービス活用の習熟が両輪で進んできた結果だ」とし、「サービス拡大による増収効果はまだまだ継続するだろう」と期待を寄せる。
24年2月期の連結業績予想は、売上高が前期比5.1%増の1850億円、営業利益が同34.2%増の70億円、純利益が同30.7%増の40億円を予想する。これを達成すれば、営業利益は15年2月期の57億円を上回り直近10年間での最高益となる。