世界最大級の高級時計の展示会「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ」で、「カルティエ(CARTIER)」は今年も名作を再解釈した時計を数多く発表した。期間中、シリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)=カルティエ プレジデント兼最高経営責任者(CEO)は、世界各国から約10のメディアを招いた意見交換会を開催。日本代表を務めた「WWDJAPAN」が、その内容をお届けする。(この記事は、「WWDJAPAN」2023年4月10日号から抜粋したものです)
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──今年も、名作を再解釈した商品が出そろった印象だ。改めて、なぜ近年の「カルティエ」は、この戦略にかじを切ったのか?
シリル・ヴィニュロン=カルティエ プレジデント兼最高経営責任者(以下、シリルCEO):バック・トゥ・ベーシックという戦略を考えたのは、今から7年前のこと。一番の理由は、「カルティエ」の時計は、時間が経過しても素晴らしいと思えるデザインだからだ。私たちには、25もの20世紀のアイコンがある。ブランドとしてシャープなイメージを確立するには、これからの時計は全て、これらのアイコンに依拠すべきだと考えた。そこで、全てのアイコンを1つのテーブルに置いて、ずっと考えた。「絶対的なアイコンには、手を加えるべきではない」という意見もあるだろう。そんな意識は私たちにもあったが、克服した。再解釈で大事なのは、その時計から「CARTIER」のロゴを取り除いても「カルティエ」の時計だと思えること。過去の名作で“遊ぶ”ことができるのは、私たちならではの特権だ。
──現在の時計ビジネスをどう捉えている?
シリルCEO:ついにアジアも開かれて、2023年はエキサイティングな1年になるだろう。中国を除くアジアはすでに元気で、22年は日本も大きく成長した。他ではタイのバンコクやマレーシアのクアラルンプール、オーストラリアのシドニーなども急成長している。特にバンコクのブティックは、世界TOP10に食い込むほど成長した。アメリカでも、昨年は良い結果を残すことができた。現地は景気後退局面で今年は少し落ち着くかもしれないが、アジアからの観光客が増える欧州などがカバーしてくれるだろう。
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